NXP Semiconductorsは、5G RFパワーアンプ専用ファブとして米国アリゾナ州チャンドラーに150mm(6インチ)RF GaNファブを建設、このほど操業を開始したことを発表した。

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    NXP Semiconductorsの150mm GaNファブの外観(米国アリゾナ州) (提供:NXP)

同工場はNXPの電力密度、ゲイン、直線性効率にフォーカスした20年間におよぶGaN開発の専門知識と量産に関するノウハウを統合した先進的な量産製造施設という位置づけで、5G基地局を始め、産業、航空宇宙、防衛市場の先進通信インフラの拡大をサポートする効率的な技術革新を実現するとしている。

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    クリーンルーム内部の150mm GaNウェハ (提供:NXP)

NXPのGaNファブの開所式(米国アリゾナ州) (NXP提供)

9月29日に開催されたオープニング・セレモニーではNXPのエグゼクティブが参加したほか、アリゾナ州知事、米上院および下院議員、商務省国際貿易局幹部なども出席し、米国政府からの期待感の大きさがうかがえた。

米国政府は、米中ハイテク覇権争いのなかで、国家安全保障の観点から米国内における半導体製造強化にむけて様々な施策を打ち出しており、先にTSMCのアリゾナ州への誘致を決めたばかり。今回のNXPのGaNファブも、米国政府の半導体製造強化政策に沿うもので歓迎されて当然だろう。

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    NXPのGaNファブの開所式(米国アリゾナ州) (提供:NXP)

5Gの普及で期待されるGaN

5Gにより、アンテナ当たりに必要なRFデバイスの数は急増しているが、スマートフォンに収納するためにはチップサイズを大きくせずに消費電力を削減することが必須である。GaNパワー・トランジスタはこうした相反する要件への対応に向けた技術として注目されており、電力密度と効率の向上を実現することが求められている。

NXPでは、約20年にわたってGaNに関する研究開発を行ってきており、最高品質のGaNデバイス製造を実現することを目指して、高効率とゲインの高い直線性の提供に向けた半導体性能向上のために、技術の最適化を進めてきたとしている。

なお、NXPは、今回のGaNファブの敷地内にGaN研究開発チームも配置することで、進歩の早い5G向け新製品の開発を促進するとしている。同ファブは、2020年末までに市場への最初の製品出荷、ならびにフル稼働へと至ることが計画されている。