Xilinxは8月20日、SUBARU(スバル)の新型レヴォーグに搭載された「新世代アイサイト」に、同社のZynq UltraScale+が採用されたことを明らかにした。これに関して、事前にオンラインでの説明会が開催されたので、この内容を基にご紹介したい。
もともとスバルは2020年1月に開催された「SUBARU技術ミーティング」の際に、新世代アイサイトを投入するという話を明らかにしていた。現行のアイサイトはVersion3であるが、このVersion3に、Photo01に示す
- 交差点事故対応強化
- 高速道運転支援の拡大
- ステレオカメラの刷新、視野拡大、データ処理力アップ、全周囲センサ協調
といった機能を追加したもの(Version 4にはならないらしい)を今年投入するとしており、今回、新型レヴォーグに実装されるかたちでこれが実現された。
SUBARU技術ミーティングでは、「これをどうやって実現するか」については明らかにされなかったが、今回Xilinxの自動車グレード(XA)Zynq Ultrascale+を利用してアイサイトの機能のうち
- ACC(Adaptive Cruise Control)
- (LKA)Lane Keeping Assist
- Pre-collision breaking
の3つを実装した事が明らかにされた(Photo02)。
ちなみにスバルのスライドに戻ると、交差点事故対応強化というのはPhoto03の左側のシナリオに対応するもの、高速道運転支援などはこちら(Photo04)に示す内容になる。
ただFPGAを利用するのはステレオカメラを利用した機能がメインとなるが、ステレオカメラの距離そのものを広げる事でカメラの視野角を広げると共に精度を高め、この画像の処理をZynq Ultrascale+を利用することで高速かつ高精度に実現できるという話であった(Photo05)。
先にちょっと触れた話であるが、Zynq Ultrascale+といってもZU2からZU11まで広範なラインナップが用意される。Xilinxとしては、例えばローエンドからハイエンドまで同じアーキテクチャで利用できるので、スケーラビリティが高いという点をメリットとして強調していたが、スバルから出たのは「開発段階では色々最適化もされていないし、機能を後から盛り込んだりするので、LC数が大きなFPGAを使って開発を行い、製品はこれを最適化することでLC数の少ない製品に入れ込む、といった事がFPGAだと容易にできるのが非常に有難い」という評価であった。またASICと異なり、変更があれば即座に反映できる事も、開発を容易にする上で効果があったとの事。もっともその一方で、初めてのFPGAプログラミングはやはり難易度そのものは高かったようで、最新の開発ツールなどに追従していくのが難しい、という声もあった。
ちなみにそのXilinxの自動車向け製品だが、ここ5年ほどは年間2000万個ほど出荷されており、特にADAS向けではすでに7500万個の出荷実績がある(Photo07)としており、また様々なセンサの接続やハンドリング向けにソリューションを提供しており、まずはこうした足回りから攻めてゆく(Photo08)という話であった。