半導体市場動向調査会社である仏Yole Développementは、スマートフォン(スマホ)や車載、PCなどで用いられるカメラモジュールの市場規模は2019年の313億ドルから2025年には570億ドルに年平均成長率(CAGR)10.5%で成長し、数量も同8.2%で伸びるとの予測を公表した。
カメラモジュールの中心的存在はCMOSイメージセンサで、その市場規模は2019年に143億ドルであったが、今後CAGR9.1%で成長し、2025年には242億ドルに達するとYoleは予測している。また、カメラモジュール市場で2番目に大きいアセンブリ(カメラ用の電子・機械部品を組み立て、モジュール化するビジネス)市場は2019年の95億ドルからCAGR12.7%で成長し、2025年には195億ドルまで拡大するとしている。
3番目の市場であるレンズセットは2019年の48億ドルからCAGR8.1%で成長し2025年には76億ドルに達する見込みであるほか、AF(Auto Focus:自動焦点)やOSI(Optical Image Stabilizer:光学式手振れ防止機能)などのアクチュエータは、カメラの機能向上競争のおかげでCAGR13.5%と高い伸びを示し、2019年の27億ドルから2025年には57億ドルに達する見込みであるとしている。
CMOSカメラモジュール市場を適用アプリケーション別に見ると、2019年はスマホを含むコンシューマ向けが全体の8割以上を占める256億ドル、2番手が全体の13%で車載向けとなっているが、2025年には車載カメラモジュールのシェアが15%近くまで増加する見通しである。
自動車市場は、事故防止のためのリアカメラやフォワードカメラの採用が進んでいるほか、キャビンや電子ミラーによるサラウンドビュー向けなど新たなアプリケーションが次々と登場し、1台あたりのカメラの平均搭載数が増加傾向にある。
家電分野でも各種のスマート製品、アシスタントパーソナルロボティクス、民生用ドローンなどにおいて重要な役割を担う要素となっており、Yoleのフォトニクスおよびセンシング担当技術・市場担当アナリストであるRichard Liu氏は「これらの新しいアプリケーションは、カメラの需要を増加させ、今後数年間でカメラモジュール市場をさらに発展させるだろう」と述べている。
2019年のカメラモジュール市場の売上高トップ企業はソニー
2019年のカメラモジュール業界の企業別売上高ランキングトップ25を見ると、トップはCMOSイメージセンササプライヤ大手のソニー(実際は子会社のソニーセミコンダクタソリューションズ)で、2~5位には、カメラモジュールアセンブリの韓LG Innotek、中O-Film、中Sunny Optical、そしてCMOSイメージセンササプライヤのSamsung Electronicsとなっている。
トップ25社の中に日本企業はソニーのほか、シャープ(6位、モジュールアセンブリ)、アルプスアルパイン(20位、アクチュエータ。旧アルプス電気)、TDK(23位、アクチュエータ)、パナソニック(25位、CMOSイメージセンサ)の合計5社が入っている。なお、シャープのカメラモジュール事業は2020年度中に分社化され、シャープ本体より切り離される予定となっている。