ON Semiconductor(オン・セミコンダクター)は8月8日(米国時間)、新潟県小千谷市にある新潟工場(元三洋電機の子会社の三洋半導体の新潟工場)の売却を検討していることを正式発表した。

同社は、すでに売却先の調査をスタートしているという。同社によると、新潟工場の売却は、製造拠点を最適化し、高度に差別化されたパワー、アナログ、センサ製品への注力を強化するという同社の製造拠点再編計画の一部だとしている。同社は、2020年2月にベルギーにある6インチ(150mm)ファブの売却を検討していることを発表しており、レガシーファブを処分し、レガシーデバイスの製造を売却先に任せて、成長著しい分野のデバイスに注力する戦略が鮮明にしているようだ。

新潟工場は、もともと三洋電機グループの中心的な半導体工場だったが、ON Semiconductorが2011年に三洋電機および同グループ会社の半導体事業資産を一括して買収した。同工場は、車載品質の認定を受けた施設であり、品質管理に関するグローバルな業界基準であるIATF 16949に適合している。同敷地内に約2万m2のクリーンルームスペースを備えた2つの前工程ファブを有しており、約16万m2の敷地内に約10万2000m2の建屋を所有している。現在、同社は新潟工場で同社のBCD、BiCMOS、CMOS、ディスクリート半導体を製造している。

ON Semiconductorは、日本から撤退するわけではないとして、福島県会津若松市にある会津工場(元富士通セミコンダクター)の8インチウェハ製造ラインを増強したことを強調している。同社は、2018年に富士通の孫会社だった会津富士通セミコンダクターマニュファクチャリングの出資比率を60%に引き上げて社名をオン・セミコンダクター会津に変更した。

半導体業界関係者によると、「本来なら売却先が決まってから発表するのが通例だが、国内で売却先が簡単には決まらず、世界に向けて売却先を募集し始めたようで、従業員の雇用継続や既存顧客への継続的な製品供給を売却の条件にしている模様である。今年2月に売りに出されたベルギーの同社レガシーファブも同様な条件であるが、この条件でのレガシーファブ売却は容易ではないようだ」という。なお、同工場では、ON Semiconductorが世界トップシェアを握る車載CMOSイメージセンサは製造していない。