2020年第2四半期、メモリ価格が高騰する可能性
半導体市場動向調査会社であるTrendForceは 2020年第2四半期のサーバーDRAMならびにエンタープライズSSDの価格予測を、従来予測から上方修正したことを明らかにした。
新型コロナウイルスの感染拡大で世界的にテレワークでの業務が進み、需要が増加するとの見方が背景にある。その結果、サーバーDRAMの価格は従来予測の前四半期比15%増から同20%増へ、エンタープライズSSDの価格も同5~10%増から、同10~15%増へと引き上げたとしている。また、現在、メモリサプライヤ各社の在庫レベルが抑えられているため、少なくとも同四半期中は価格の高止まりが続くともしている。
サーバー需要は、特に中国での動きが顕著で、2月に入って中国のクラウドオペレーターからの需要が大幅に増加。例えば、中国の動画共有システムを展開する情報通信業者であるByteDanceのポートフォリオは、eコマース、ゲーム、およびフィンテックを含む広範なもので、北米でのデータセンター事業の拡張で予想されていた以上のサーバーの発注があったという。
なぜメモリ価格が高騰するのか?
サーバー需要が高まれば、必然的に不足がちになるサーバーDRAMの価格も上昇することとなる。一方のエンタープライズSSD需要も2019年第4四半期より回復が始まり、北米のデータセンターオペレータも2020年第1四半期より、サーバーならびにサーバー向けメモリ製品の注文を増加させていた。そこに今回の新型コロナウイルスの感染拡大の影響を背景に、中国を中心に在宅勤務とクラウドサービスの活用を促進しようという動きも加わり、さらにエンタープライズSSDの需要を押し上げることとなった。
対してPCやスマートフォンメーカーからのフラッシュメモリに対する注文も減っておらず、こうした通常の契約に基づいた取引も継続的に需要を維持する中、エンタープライズSSDの需要増という緊急の追加注文が多数入ったものの、NANDサプライヤ各社は、生産能力の向上に慎重な姿勢を見せており、結果として2020年第1四半期の供給が不足気味となってきている。そのため、TrendForceでは、需要の急増が2020年第2四半期に持ち越される可能性もあるとしている。
同社の調査によれば、PCおよびスマートフォンメーカーは、新型コロナウイルスの影響でサプライチェーンに連なる関係各社での生産および出荷が2週間以上遅延する事態に陥っており、十分な在庫を積み増すのに苦労しているという。そのため、2020年第2四半期のNAND供給量も需要に対して不足気味となり、価格が高騰する可能性が高いとしている。
2020年下期の価格はどうなる?
なお、TrendForceでは、2020年下期のエンタープライズSSDの価格については、その段になって新型コロナウイルスの感染拡大の影響が世界経済にどの程度の影響を及ぼしているかによって変わってくるとしている。
現在、新型コロナウイルスの感染拡大が米国や欧州に急速に広がりを見せている。イタリアは全土に対する封鎖措置を実施、米国もニューヨークの一部区域でも封鎖措置が取られるなど対策が取られているが、感染拡大が下期まで続けば、世界経済に大きな影響が出ることも予想され、PCやスマートフォンメーカー各社も年間の生産計画を修正せざるを得なくなる可能性がでてくるとTrendForceでは指摘している。