Micron Technologyの台湾法人、台湾美光記憶体(Micron Memory Taiwan)が4000億NTドル(約1兆3000億円)を投じて、台中市の中部科学工業園区に最先端DRAMの新工場を2棟建設すると台湾の日刊紙「經濟日報」が8月26日付けで報じ、その後、現地の複数のメディアが後追いで報じている。

中部科学工業園区にある同社の既存の台中工場の隣接地はすでに同社が入手済みで、そこにて1棟は着工しており、2020年8月に竣工し、同年第4四半期(10~12月)に最先端の1Znm(14~12nm程度)プロセスを採用したDRAMの試験生産を始める予定であるという。

もう1棟は市場の需要を見ながら建設を行う予定としており、月産能力は6万枚となる予定としている。地元政府関係者によると外国資本による台湾への半導体投資としては過去最大で、2棟で約2000名の雇用が期待されるとしている。

現在、世界のDRAM市場は供給過多の状況が続いており、競合であるSamsung ElectronicsやSK Hynixは増産を凍結、かつ減産を行っている中での、今回のMicronによる巨額投資は、市場の流れに逆行したものと写る。しかし、同社は2019年6月に広島にて最先端DRAMの量産ファブを、同8月にはシンガポールでNANDの量産ファブの開所式を執り行っており、不況期に世界規模で巨額投資を行う逆張り戦略に注目が集まっている。

Micronは、5G時代の到来で人工知能(AI)、IoT、自動運転車向けDRAMの需要が喚起されるとの読みから、1ZnmプロセスでのDRAM生産拡大を決めたようである。Micron Memory Taiwanは、台中での工場建設は認めたが、投資金額や生産能力などの詳細についてコメントをさけたと経済日報は伝えている。

なお、Micron傘下のMicron Memory Taiwanは、台中工場(旧 瑞晶電子(Rexchip Electronics))と、桃園工場(旧 華亜科技(Inotera Memories))を擁するが、このほど、組織再編を実施、両製造工場をTaiwan Micron董事長兼台中工場営運長の徐国晋氏が統括する体制に変更し、運営を一本化することにしたという。このため、桃園工場の葉仁傑営運長始め一部の役員が9月1日付で退職するという。