半導体製造装置材料の業界団体である国際半導体製造装置材料協会(SEMI)が、300mmファブに対する製造装置投資額の今後5年間にわたる推移予測を発表したが、それによると、半導体設備投資の中心である300mmウェハ市場は、マイナス成長とプラス成長が入り混じりながら、緩やかに規模を拡大していく見通しとなっている。

300mmファブ向け製造装置市場はメモリバブルを背景に2018年に過去最高を記録したが、2019年はメモリバブルの崩壊や、不透明なグローバル経済の行く末などによる消費行動の抑制などもあり、大幅なマイナス成長を記録する見通しとなっている。その後、2020年にわずかながらのプラス成長となり、2021年にはそのままプラス成長を続け、過去最高値の更新となる600億ドル規模に達するとするが、2022年には前年の反動でマイナス成長となり、さらにその反動で2023年には再びプラス成長に転じるとしている。SEMIでは、こうした動きに対し、「シーソーのように上下を繰り返す」と表現している。

もともとSEMIは、2019年の半導体製造装置市場の動きとして、2018年夏に開催されたSEMICON Westの時点で前年比プラス成長を予測していた。しかし、その後、景気の後退局面に差し掛かったとして同年末にマイナス成長へと下方修正。2019年第1四半期の段階で前年比14%減へと下方修正を行ったほか、SEMICON West 2019の開催に併せて発表した市場予測では、同18%減へとさらなる下方修正を行っていた。また、この間、2020年にはプラス成長に転じるとしてきたが、その成長率も徐々にさがってきており、結果として、本格的な設備投資の回復は2021年以降にずれこむことになりそうである。

2019年から2023年にかけての300mmウェハ向け製造投資の増額分の多くがNAND、DRAM、ファウンドリ/ロジック、パワー半導体の製造に持ちいられると見られており、その設置地域も韓国がトップで、台湾、中国とSEMIのグローバル販売地域ランキング上位3地域同様の動きとなるほか、欧州/中東、東南アジアも順調に拡大していくとSEMIでは見ている。

なお、日本の統計だが、9月2日付けで公開された「法人企業統計調査」(平成31年4~6月期)において、製造業の設備投資が前年同期比で減少に転じていることが示されている。これについて茂木 経済再生担当相は「中国経済の減速と半導体市況の弱さを反映している」との見方を示しており、日本の半導体関連業界も影響を受けていることを示唆している。

  • SEMI

    300mmファブの製造装置投資額と300mmファブ/ライン数の推移予測(将来のファブ/ライン数には、実現可能性が5割を超えている計画も含む) (出所:SEMI)