富士通セミコンダクター(FSL)は9月4日、シリアルインタフェースのFRAMファミリでは最大メモリ容量である4MビットFRAM「MB85RS4MT」を開発したと発表した。

同製品は、エッジコンピューティングの拡大、センサ情報のデータ量の増大といった環境の変化により、既存のEEPROMで生じている「書換回数を増やしたい」、「書換時間を短くしたい」、「メモリ容量を増やしたい」といったニーズに応えることを目的に開発されたもの。ドライブレコーダ/運行レコーダ、ロボット、工作機械、計測装置、メーター、民生機器などリアルタイムでの頻繁なデータログが必要とされるアプリケーションに適している。

  • MB85RS4MTの用途例

    MB85RS4MTの用途例

同製品の書換え保証回数は、同じ不揮発性メモリのEEPROMの約1000万倍の10兆回で、書換回数が設計のボトルネックになることはないという(図1)。

また、データ書込動作では、EEPROMやフラッシュメモリは書込時間に加えてセクタの消去時間が必要になるが、FRAMは消去をせずに上書きのみとなるため、高速書き込みを実現している。これにより、データ書込中に瞬断などの電圧低下が発生した場合でも、FRAMは書込中のデータを保護できる(図2)。

  • 書換回数比較

    図1 書換回数比較

  • 書込時間比較

    図2 書込時間比較(電圧低下時)

さらに、同製品の動作電圧は1.8Vから3.6Vまでのワイドレンジのため、ユーザー製品に内蔵されているメモリ周辺の電子部品が1.8V、または3.6V動作品のどちらでも対応できる。動作電流は、1MHz動作時が最大250μA、スタンバイ電流は最大50μAと低消費電力化を実現している。

なお、すでに量産品の出荷を開始している。パッケージは、既存のEEPROMと置き換え可能な8ピンSOPのため、ユーザー製品の設計を大幅に変更することなく同製品に切り替えることができる。

  • SOPパッケージ

    MB85RS4MT SOPパッケージ