東北大学(東北大)と東京工業大学(東工大)は、量子コンピューティングを中心とした情報科学の基礎と応用の研究において、両大学の強みを活かして組織的な連携を図ることにより、研究拠点を形成するとともに、世界的にリーダーシップを発揮することを目的とした連携協定を締結したことを発表した。

  • 笑顔で握手を交わす大野英男総長(東北大)と益一哉学長(東工大)

    笑顔で握手を交わす大野英男総長(東北大)と益一哉学長(東工大)

量子コンピューティングは、従来では長い計算時間を要したいくつかの問題をより短い時間で解く可能性を期待され、各分野で注目されている。

東工大は、最初に商用化された量子アニーリングの概念を1998年に提唱し、その基礎理論研究において20年にわたって第一線を走ってきた。また、東北大では、量子アニーリングに関するソフトウェア科学とその応用研究で先導しており、産業界との広範な連携によって、各種の重要課題の解決を系統的に推進している。

こうした景のもと、東工大科学技術創成研究院に7月1日に発足した量子コンピューティング研究ユニットと、東北大学際研究重点拠点「Q+HPCデータ駆動型科学技術創成拠点」で研究拠点を形成し、両大学の強みを活かして組織的な連携を行うとともに、企業と協力して「量子アニーリング研究開発コンソーシアム(仮称)」を組織し、さまざまな実社会の問題の解決を図るという。

形成される拠点では、人材の集中及び量子アニーリングマシンの設置など研究開発環境の整備を行う予定だとしている。研究面では、量子コンピューティング研究ユニットで行われる量子アニーリングの基礎理論の整備・構築と、「Q+HPCデータ駆動型科学技術創成拠点」で行われるソフトウェア科学および具体的な問題への応用が展開される。

さらに、量子アニーリング分野では基礎研究と応用研究の距離は近く相補的であることから、応用研究でのさまざまな分野への量子アニーリングの活用は、ノウハウの蓄積のみならず基礎研究の発展も促し、その基礎研究の発展がさらなる活用分野の拡大につながるという好循環を生みだす。これにより、我が国が量子アニーリング分野で基礎及び応用においてイニシアチブを獲得することが期待されるとしている。