アルマ望遠鏡は7月6日、ミリ波・サブミリ波領域で世界最高の感度と空間解像度を持つ、アルマ望遠鏡を用いて若い星MWC 758を観測し、この星を回る塵の円盤にさまざまな構造があることを発見したと発表した。同成果は、台湾中央研究院天文及天文物理研究所/アリゾナ大学のロビン・ドン氏、工学院大学 教育推進機構の武藤恭之 准教授らの国際研究チームによるもの。
今回観測対象となったMWC 758は、地球からおよそ500光年離れたおうし座の方向にある若い星である。2013年には、すばる望遠鏡の近赤外線観測によってMWC 758の円盤に2本の渦巻き腕が発見されており、ドン氏らは2015年の論文の中で、木星より重い惑星が円盤のすぐ外側に存在すればこの渦巻き腕が作られうる、とされていた。また、別の望遠鏡による電波観測においては、円盤の中央部に大きな穴が開いていて、円盤部分には塵のかたまりがふたつ存在することも明らかにされていた。これを受け、今回はこれらを高解像度望遠鏡であるアルマ望遠鏡で観測するとどう見えるのかを焦点に2017年11月に観測を行ったという。
その結果、星を取り巻く円盤には、渦巻き腕や塵のかたまり、少し楕円のひしゃげた形に開いた円盤の穴といった構造が見つかったという。これらは円盤内で形成されつつある惑星によって作られている可能性があるとみられる。
すばる望遠鏡などによる近赤外線観測では、星の光が円盤表面で反射した様子しかわからないというのが現実であり、円盤表面の模様ということもできる。これだけでは、実際に模様どおりに塵が分布しているのか、あるいは円盤構造の影によって渦巻き腕に見えているだけなのかは判断がつかないといい、今回の発見により、実際に渦巻き腕の形に塵が密集していることが明確になったとのことだ。
また、近赤外線観測で見られた渦巻き腕と、今回アルマ望遠鏡で見えた渦巻き腕とでは、位置がわずかにずれていることも明らかになり、これは、惑星が作り出す「密度波」の理論と合致する現象であるとしている。