台湾TrendForceは、2018年第1四半期における半導体ファブレス企業売上高ランキング・トップ10を発表した。
トップのBroadcom、2位のQualcommは前年同期比で順位の変動は無かったが、3位には、同50.6%増のNVIDIAが前回3位のMediaTekを抜きランクイン。4位に転落したMediaTekと、同様に同8位から9位に転落したNovatekの2社のみマイナス成長を記録する一方で、順位の変動はなかったものの5位のAMDが同67.4%増と高い成長率を見せるなど、明暗の分かれた結果となった。
TrendForceでアナリストを務めるCY Yao氏は、「AMDの急成長はコンピューティングおよびグラフィックス・ビジネスの伸びが同88%増と高かったほか、2017年第1四半期の業績が期待より低かったことなどがあり、同四半期の成長率を押し上げた。また、仮想通貨採掘(マイニング)ブームで、高性能コンピューティングが可能な次世代グラフィックスチップの需要が増した影響も大きい。同社の同四半期の純利益は8100万ドルで、過去4年間で最高の値となった」と述べている。
この動きはNVIDIAも同様で、同四半期における同社のゲーム部門は同52.4%増、サーバ部門が同80.3%増を達成しており、同社のOEM売り上げのうち、2億8900万ドルが仮想通貨関連のビジネス向けとなったとする。
一方で、スマートフォン(スマホ)市場は、2017年末にいつもよりも早くオフピークシーズンに移行してしまい、主要な携帯電話ベンダは、2018年の市場状況に対しても以前より慎重な姿勢を示していることから、QualcommとMediaTekのスマホ向けチップの注文が減少。その結果、Qualcommの成長率は同6.0%増、MediaTekにいたっては同9.4%減と低調な結果となった。ただし、MediaTekの売上高総利益率は徐々に回復してきているとのことで、例えば、P60プロセッサの製造における12nmプロセスの採用により、市場での競争力が向上、第1四半期の売上高総利益率は38.4%となったほか、OPPOのような大手ベンダが、P60プロセッサを採用するモデルをリリースするといった動きも見えており、売上高総利益率の改善が進むことが期待されるとしている。ただし、P60は2018年第1四半期にリリースされたばかりの製品であるため、第2四半期の売り上げには大きなインパクトは与えないだろうとしている。
なお、2018年第2四半期の半導体ファブレス企業ランキングについて同社では、上位5社に変動はないと予想しているが、MarvellがXilinxを追い抜き6位にあがる可能性があるとしている。これはMarvellがCaviumを買収したことによるもので、同四半期中に買収が完了すれば、既存のMarvellの売上高にCaviumの売上高が加算されることとなり、これにより逆転する可能性があるためだとしている。