大日本印刷(以下、DNP)は、同社が開発した、遮光性やバリア性に優れた「DNP機能性フィルム複合型PETボトル Complex Bottle(コンプレックスボトル)」が、圧力生酒コンソーシアムの日本酒の生酒用容器に採用されたと発表した。
「コンプレックスボトル」は、透明なペットボトルに遮光などの機能を持った着色フィルムを被せて一体成形し、ボトル底部まで覆ったもの。PETボトルは、軽量で使い易さが評価され、さまざまな用途で利用されているが、PETボトルリサイクル推進協議会のガイドラインに基づき、国内ではPETボトル本体への着色が認められていないため、酒類など内容物の変質を防ぐために容器の遮光性が求められる飲料での使用は極めて困難とされてきた。コンプレックスボトルは、飲み終わった後は外側の着色フィルムをはがすことで透明なPETボトルになるため、国内のリサイクルガイドラインにも適合しているという。また、遮光性や酸素バリア性などの機能性を備えるとともに、表面には印刷によるデザイン性も付与できるという利点も兼ね備えている。
新潟薬科大学が代表を務める「圧力生酒コンソーシアム」は、このコンプレックスボトルを日本酒の生酒「AWANAMA」の容器として採用した。同コンソーシアムは、2016~2018年度の3ヶ年の実証型研究開発プロジェクトで、高圧技術の活用によって、生酒など火入れ(加熱処理)しない日本酒の生酒の常温流通を可能とする技術を開発し、日本酒の新規需要の開拓と輸出拡大を目指している。同コンソーシアムの製造工程では、生酒を容器に封入してから高圧殺菌処理をするため、柔軟性や伸縮性のある容器が必要となる。また、内容物を保護する遮光性などの機能や、販売促進のための容器デザインも必要となるため、今回DNPのコンプレックスボトルが採用されたということだ。なお、「AWANAMA」のデザインは、新潟市のデザイン会社、フレームが手掛けている。
コンプレックスボトルを利用した生酒「AWANAMA」は、10月4日~6日に東京ビッグサイトで開催される「アグリビジネス創出フェア」の新潟薬科大学ブースに出展される。その後は、幕張メッセや新潟県、京都府で試飲会が実施される予定だということだ。