9月14-18日に独Hambergで「第31回 欧州太陽光発電ソーラーエネルギー講演・展示会(European PV Solar Energy Conference and Exhibition:EU PVSEC 2015)(図1)、が開催され、講演会には77カ国から2500名を越える関係者が参加した。そのうち、半数が太陽電池研究者、4割が関連技術者だった。

図1 2015年欧州太陽光発電講演会会場風景 (提供:EU PVSEC)

この会議で、ベルギーの独立系半導体・ナノテクノロジー研究機関であるimecが19件の発表を行い注目された。このうち、12件が口頭発表、7件がポスターだった。

最も注目された発表の1つが、材料と構造の最適化により、6インチ(15.24cm×15.24cm) CZシリコン基板で効率22.5%という業界最高クラスを達成したN型PERT(不動態化エミッタ・リア・トータル拡散:passivated emitter, rear totally diffused)太陽電池の実演。

N型太陽電池は、既存のP型に比べて光による劣化や不純物金属にに対する耐性にすぐれ、拡散長が長いため、次世代太陽電池と目されている。また、既報のとおりぺロブスカイト太陽電池では、変換効率をさらに向上させ、17%を実現し、集積化したモジュールとしては12.5%を達成した。

図2 N型PERT太陽電池 (出所:imec)

imecは、これらの太陽電池ハードウェアの発表のほかに、ソフトウェアの発表も行っている。スマートグリッドのエネルギー効率を最適化するために、さまざまな気象条件下で太陽光発電プラントのエネルギー効率を既存のものよりさらに2割正確に予測できるシュミレーション・モデルも発表した。

imecのPV担当ディレクターのJef Poortmans氏は 「EU PVSECでimecがこれほどまでに多数の発表を行えたのは、当社の優秀なサイエンティスト、オープンイノベーションに基づくユニークな研究環境、産業界のパートナーの協力のおかげである。imecは今後セル技術そのものから、モデリングやシステム集積技術へと力点を移していく」と述べた。

IoT時代を迎え、imecは、今年、「持続可能な社会におけるスマートリビングの実現」を全社を挙げた研究方針として掲げており、そのために太陽電池は持続可能性という点からも、ヘルスケアに代表されるスマートリビング向けの携帯可能な電源としても重要な役割を演じることから、今後、さらに太陽電池の研究開発やシステムとしての実用化に注力するようだ。

なお、次回、第32回EU PVSECは2016年6月20日週に独Munich (ミュンヘン)で、Intersolar Euope展示会と合同開催される。