計測機器大手Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは7月8日、次世代モバイルコンピューティングの標準インタフェース規格であるMIPI M-PHYに対応したプロトコルアナライザ「Agilent U4431A」を発表した。

モバイルコンピューティングの高性能化により、現在のモバイル機器の開発では、複数の高解像度カメラ、高速な周辺機器、先端グラフィックスアダプタ、大容量バッファメモリなどを管理する高速なインタフェースバスが必要とされている。このようなバスの広帯域化の要求に対応すべく、M-PHYは4レーン、6.0Gbpsオプションを含む仕様に拡張された。

同製品は、最大16GBの解析メモリを搭載しており、高速環境下でも数十秒にわたるデータを捕捉することが可能なほか、Rawモード解析機能を搭載しており、プロトコルのベースとなっている8b/10bデータの時間相関解析を実行可能で、これらのデータは、波形表示もリスト表示も可能で、物理層におけるパケットの状態を把握することができるため、設計の各所において詳細な解析が可能となる。

また、物理層からリンク層、トランスポート層から上位のアプリケーション層まで、エラー検出が可能なため、M-PHYプロトコルスタック全体を把握しながらの解析が可能。これにより、送受信プロセス全体におけるデータの流れを視覚的に把握できるようになる。

さらに、バス上の特定のイベントを解明し、障害を切り分けるツールとしても利用できるほか、リアルタイムトリガ機能により、プロトコルの各レイヤにおけるエラー検出が可能なことに加え、特定の種類のトラフィックのみを解析したい場合に役立つフィルタ機能も搭載しており、トラフィックオーバービュー機能やマーカ機能により、トラフィック全体からナノ秒分解能の詳細まで、M-PHYバス上のトラフィックを簡単に理解することができる。

なお、同製品はモジュール型のAXIeブレード製品のため、モジュールの増設により、複数のM-PHYバスを同時に解析することができるほか、MIPI D-PHY CSI-2やDSI、PCIe、DDRメモリ、HDMIバス、汎用ロジックなどとの時間相関解析も可能なため、必要になった際にそうしたアップグレードを施すことも可能だ。この他、UFSおよびUniProに対応しているほか、2013年後半には、SSIC(SuperSpeed USB Inter-Chip)、M-PCIe(PCIe Over M-PHY)、CSI-3に対応したオプションを発表する予定。価格は465万7834円(税別)からで、すでに受注を開始しており、出荷開始は9月を予定している。

MIPI M-PHYに対応したプロトコルアナライザ「Agilent U4431A」