新エネルギー・産業技術総合開発機構は7月10日、有機導電性ポリマーの連続コーティングによる1.2m角の大型タッチセンサを開発したと発表した。

MEMSは、スマートフォンから自動車まで多種多様な製品の中に組み込まれ、圧力や加速度など製品を動かすのに必要となる情報を検出するセンサとして用いられている。同技術を介護用品としてのベッドやマット用センサやゲーム用センサとして組み込むためには、従来のウェハサイズから、人の周りで用いることができるメートルサイズへのスケールアップが求められていた。

マイクロ・ナノ構造をメートルサイズに低コストで実現する方法として、製織技術に着目し、繊維状の基材に機能性薄膜を塗布するプロセスや、その塗布された繊維を織る技術の開発が異分野融合型次世代デバイス製造技術開発(BEANS)プロジェクトの中で進められてきた。そこで今回、ナイロンファイバに有機導電性ポリマ(PEDOT:PSS)を連続的にコーティングする技術およびファイバを低摩擦で織りこむための自動織機技術を開発した。

図1 製造プロセス

ファイバなどの繊維状の基材表面に均一な膜厚の機能性薄膜を塗布するために、材料液の供給方法や塗布ヘッド形状を改善した。さらに、洗浄や塗膜形成、熱処理の各プロセスを連続して行うことを実現した。これにより、高真空を必要としない低コストなプロセスで、大面積タッチセンサの試作に成功。センシングする原理は、糸と人との間の静電容量を検出する方式で、縦糸と横糸とで人が触った場所を特定する。

BEANSプロジェクトの成果および試作物では、タッチセンサによる人の位置検知のデモンストレーションや電子デバイス製造技術を応用したフレキシブルLED照明のデモンストレーションがある。

図2 メートル級大面積タッチセンサ

図3 メートル級大面積LED照明