Analog Devices(ADI)は5月18日、クアッド(4チャネル)16ビット125MSPSを有するAD/コンバータ(ADC)「AD9653」を発表した。

同製品は、医療用画像処理および通信アプリケーション向けデータ・コンバータ製品で、展開中の12/14ビット品の新たなラインナップとして加えられた。パワー・スケーリング・オプションにより、125MSPSでチャネル当たり164mWと低消費電力で、S/N比は70MHz当たり76.5dBFSと広いダイナミックレンジを有する。また、14ビット品「AD9253」と12ビット品「AD9633」とピン互換があり、システムの性能移行が容易となっている。

医療分野では、MRI(磁気共鳴映像法)システムや医療用超音波検査、産業用目視検査システム、非破壊超音波検査などのハイエンドの画像処理アプリケーションにおいて高いチャネル密度を提供し寄与する。非磁性パッケージを採用しており、MRIシステムの磁場の中でも安全に使用することができる。また、該当する信号近くに設置できるので、画像品質およびスループットの向上と同時に全体的な部品点数の削減も可能となっている。

MRIアプリケーションにAD9653を用いる場合、可変ゲイン広帯域幅アンプ「ADL5202」、および超低歪差動ADCドライバ「ADA4937」または「ADL5562」との組み合わせを推奨している。

通信アプリケーション向けでは、MIMO(多入力多出力)ベースの無線や3Gインフラストラクチャ機器などに適している。小型のパッケージサイズ、低消費電力、そしてパワースケーリング機能はフェムトセルやピコセル基地局の設計に最適となっている。

通信アプリケーションに用いる場合、可変ゲイン広帯域幅アンプ「ADL5202」、超低歪IFデュアルVGA「AD8376」、および超低歪差動ADCドライバ「ADA4937」と組み合わせを推奨している。

なお、パッケージは7mm角の48ピンLFCSP。価格は1000個受注時で250.00ドル。現在、量産出荷中。

クアッド16ビット125MSPSを有するADC「AD9653」