ルネサス エレクトロニクスは2月29日、同社の40nmプロセス技術を採用したフラッシュメモリ内蔵マイコン(フラッシュマイコン)「RH850ファミリ」を発表した。

RH850のRHは「Renesas High End MCU」の略で、HにはHigh Performance、High Scalability、High Reliabilityというコンセプトも含められている。

RHにはRenesas High End MCUの略のほか、Hの中に3つのコンセプトが込められている

近年の自動車分野における地球温暖化対策への要求やセーフティ技術の向上に向けて、マイコンの搭載数が増加している。ルネサスの提供するマイコンも例外ではなく、同社のマイコン分野の売り上げの約半分が自動車分野向けで占められるという。

そうした中、将来の車載分野での市場シェア拡大を目指したハイエンドマイコンがマルチコア対応の「RH850ファミリ」である。従来の90nmプロセスから、40nmプロセスへと微細化を進め基本的な性能および消費電力の低減を実現。シングルコアでは動作周波数は64MHzから最大320MHzまで対応を可能とした(従来の最大動作周波数は200MHz)。

40nmプロセス化などによる消費電力の低減を実現

また、High Performance、High Scalability、High Reliabilityという3つのニーズに応えるために、マルチコアといっても、それぞれのニーズに応じた「機能安全向けコア」「高速演算向けコア」「入出力処理向けコア」と別々のコアを用意。これらを組み合わせてそれぞれの用途に向けて提供することでカスタマはニーズに合った製品を同一プラットフォーム上で活用することが可能になるという。

プロセスのシュリンクとそれぞれの用途に応じたコアを用意することで性能を向上

さらに、90nmプロセス世代から実績がある組み込みスプリットゲートMONOS構造のフラッシュメモリを40nmプロセスでも採用しており、プログラムメモリ容量を256KB~8MB(従来は最大4MB)まで選択可能とした(この容量にはデータフラッシュ領域およびEEPROMエミュレーション機能などが含まれている)。なお、データフラッシュの場合、最低20年のデータ保持期間および12万5000回の書き換えサイクル数が保証されている。

90nmプロセスで実績のあるMONOS構造のフラッシュメモリを採用することで、プロセスのシュリンクに対応

このほか、データへの不正アクセスの防止が重要になってくることから、同社がICカード用マイコンとして培ってきたセキュリティ技術各種も実装しており、これによりECUの模造を防げるようになるほか、ECUの不正改造を防止することが可能になる。

セキュリティ技術の搭載によるデータの改ざん防止や不正アクセスを防止することができるようになっている

なお、RH850の第一弾としてパワートレイン向け製品が2012年初秋にサンプル出荷、2014年に量産を開始する予定となっており、順次、ボディ向けなどの提供も計画されており、現在の自動車市場向けマイコンシェア44%を将来的には50%まで拡大していきたいとしている。