モビリティロボット

産総研のロボット系で力を入れて研究開発されている分野の1つが、モビリティ系だ。自律移動可能な電動車いす型のモビリティロボット「インテリジェント車いす」(画像8~11)でもって、技術トライアル大会「つくばチャレンジ」に出場したり、2011年6月からスタートした「つくばモビリティロボット特区」での公道実験に参加していたりする。

画像8。つくばチャレンジに出場しているエース「インテリジェント車いす」シリーズの中で「Marcus」と呼ばれている機体。つくばチャレンジでは時速4km/h、体験走行でも6km/hだが、最高時速は8km/h。さすがに8km/hともなると、結構速い

画像9。ルーフの付いたタイプ。その上に載っているのはGPSアンテナ。つくばモビリティロボット特区での公道実験でも走ったりしている

画像10。つくばチャレンジ2010で走行中のMarcus。約240mのトライアル(予選)、約1.1kmのファイナルともに完走を果たした

画像11。6月2日からスタートした、つくばモビリティロボット特区での公道実験の様子。このインテリジェント車いすは、本来なら外側にビニールカーテンを取り付けられるので、雨天でも搭乗者が濡れずに乗っていられる。この時はプレスの撮影のために取り付けずに走った

インテリジェント車いすシリーズはGPSからの位置情報やレーザーレンジファインダを利用して周辺環境を取得することで自分の位置を確認し、屋内外をシームレスに移動できる機能を持つ(環境によって使い分けて現在位置を取得する仕組み)。そうしたインテリジェント車いすによる体験デモも行われ、1台による自動運転や、3台による隊列走行などを体験できた。

画像12。複数のレーザーレンジファインダを利用して周辺環境を確認している様子が制御用PCのモニタ上に表示されている様子。インテリジェント車いすは、周辺環境を確認して自分がどこにいるかを判断して走行できる仕組みになっている。また、周囲に建物や立木など目標となるようなものがあまりにもないような場合は、GPSに切り替えて走行できるので、どんな環境でもまた屋内外関係なくシームレスに走行できるのが大きな特徴

画像13。別のインテリジェント車いすでは、3台を連ねての隊列走行の体験デモを実施した。前走車を認識してその通ったコースをなぞりながら追随する形なので、カーブでも内側をショートカットして壁に激突したりといった心配はないのが特徴。また、今年はフォーメーション変更の機能を搭載し、一列の追従走行のほか、三角形での走行も行っていた

また、平行2輪倒立振子型の立ち乗りモビリティロボット「マイクロモビリティ」も今回は体験することができた(画像14・15)。いわゆる「セグウェイ」タイプの乗り物だが、大きく異なるのはサスペンションが備わっていること。そのため、段差などを乗り越えてもあまり気にならないし、凹凸のある路面でも大してショックを感じない。産総研の敷地は非常に広くて、展示スペースも各所に散らばっているため、マイクロモビリティを借りて移動したかったほどである。

画像14。マイクロモビリティ。タイヤ径は複数から選べる仕組みだが、今回はスタンダードな小径のもの。それでも、写真の左手にあるような段差、そして赤い路面のような細かい凹凸が連なるような場所でもサスペンション機構を搭載しているのであまりショックを感じず、乗り心地がいい

画像15。インテリジェント車いすやマイクロモビリティなど、つくばモビリティロボット特区実証実験に参加中の機体には、すべて特殊なナンバープレートが用意されている。このナンバープレートがあるお陰で、マイクロモビリティもつくば駅周辺などの一般道を走行することが可能だ