宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7月27日、同26日に国際宇宙ステーション(ISS)搭乗宇宙飛行士に認定した油井亀美也氏、大西卓哉、金井宣茂氏の3名の宇宙飛行士の会見を行い、それぞれの抱負などを語った。

冒頭、JAXA理事長の立川敬二氏は、3名の宇宙飛行士を認定したことについて、「2年間にわたり行ってきた訓練を無事に終了し、宇宙飛行士に認定することにした。認定はJAXAが行っているが、訓練課程はNASAの協力を受けておりこの認定は、日本人としてではなく、宇宙飛行士として世界的に問題ないというお墨付きをもらったことを意味している」と述べ、若田光一宇宙飛行士がISSに再び長期滞在する予定である2014年以降のISSでの滞在宇宙飛行士の候補として考えていくとした。

航空自衛隊出身で3人の中で最年長となる41歳の油井亀美也宇宙飛行士は、この候補生として訓練を受けた2年間を、「JAXAとNASAで世界最高レベルの人材から最高レベルの教育を受けられた。海外から日本を見ることができ、日本の宇宙開発のレベルは高く、各国が日本の宇宙開発能力に期待していることを感じた。日本の国民のため、あるいは世界で日本の宇宙開発に期待している人たちのために、全力でことにあたっていきたい」と抱負を述べたほか、「40歳を越えても、まだ成長していけることを実感した」とし、「41歳になっても、ロシア語を学んだり、NASAの厳しい訓練を乗り越え、さまざまな新しいことを修得できるということを認識した。人間の能力はすごい。こうした能力は誰でも持っている。やる気になれば何でもできるし、若い人にも負けないと思っている」と、さまざまなことに対する挑戦が年齢に関係なく人間の能力を伸ばすことを強調した。

また、油井宇宙飛行士と同時に候補生に選ばれ、民間航空会社(全日本空輸)のパイロット出身の大西卓哉宇宙飛行士は、「3人そろって宇宙飛行士に認定されたのをうれしく思っている。2年前に会見に臨んだときは期待半分、訓練についていけるか、不安半分であった。それから2年間NASAでの候補者訓練にもまれて、今、自信を持つことができた。スペースシャトルが退役し、1つの時代が終わったが、新しい時代を築いていくのは我々だという強い気持ちを持って臨んでいきたい」と将来を見据えた希望を語ったほか、「これから先、宇宙の利用の仕方は多様化していくはず。我々の時は宇宙飛行士選抜は理系出身者に限られていたが、文系出身者でも近い将来、宇宙飛行士になれるようになると思うので、自分の好きなことを一生懸命やりつづけて行ってもらいたい」と次代を担う日本の子どもたちに向けたエールを送った。

そして2人に遅れることおよそ半年後に訓練を開始した元海上自衛隊の医師出身の金井宣茂宇宙飛行士は、「ようやくスタートラインにたったばかり、さまざまな業務を進めて、今後の宇宙へのフライトに向けた準備を進めたい」と意欲を見せ、ISSに滞在した折には、海自時代のダイバー訓練を彷彿とさせたという船外活動を日本の代表として行いたいとするほか、医師出身宇宙飛行士の先輩でもある古川宇宙飛行士のように、大変な時でも、いつも笑顔でその大変さを見せない宇宙飛行士を目指したいと抱負を語った。

なお、ISSは2020年まで運用継続が決まったが、3人は年齢的にもその後の事柄にも参加できる可能性は高く、揃って、フロンティア精神を持って、月や火星などに行き、人類の活動領域を広げる取り組みや、月などでのサンプル採取による太陽系の成り立ちなどの解明に向けた貢献などを図っていきたいとの展望も語ってくれた。

会見に臨んだ大西宇宙飛行士(左)、油井宇宙飛行士(中央)、金井宇宙飛行士(右)