組み込み関連のデバイス、技術、システムソリューションなどが一堂に会する展示会「第14回 組込みシステム開発技術展(ESEC 2011)」が5月11日から13日までの間、東京ビッグサイトにて開催されている。
同展示会は、リード エグジビション ジャパンの"ITのすべてが集結する"日本最大のIT展「Japan IT Week 2011 春」の中の専門展の1つ。ESECのほかに、今回で20周年を迎える「第20回 ソフトウェア開発環境展」や「第16回 データウェアハウス&CRM EXPO」などの10の専門展が併催されており、ESECは、例年の東館での開催から、西館へ開催場所を移動させる形で開催されている。
今回のESECは、3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の影響から、急遽出展を取り止めた企業も見受けられたが、そのような状況でも、面白いソリューションなどを出展するブースが多々見られたので、そうしたデモなどをレポートしたい。
IAベースのタブレット"型"コンセプトモデルを展示
インテルのブースでは、IAベースのソリューションなどを機器ベンダらと協力する形で紹介している。今回は、組み込み向け次世代CPU「Atom E600シリーズ」も発表されたとあって、そうした新CPUを活用した展示なども行っており、近未来の組込機器の活用を提案するコンセプトゾーンでは、タブレット型次世代多機能タッチデバイスのデモ展示を行っている。
Atom E600シリーズと10.1型のタッチセンサを組み合わせ、Android 2.2をAtom上で動かし、Webのブラウジングやメディアフォン、カーナビ、リモコンといった活用が可能なコンセプトモデルということで、あくまでタブレット"型"という形での展示となっている。Android 2.2のIAへの対応はターボシステムが担当。Android 3.0に関してはポーティングを進めているそうだが、今回はコンセプトモデルということで、実際にIAベースの機器にAndroidを搭載したいという場合は、相談をしてもらえればと担当者は語っていた。
Intel Atom E600シリーズを搭載したタブレット型次世代多機能タッチデバイス。タブレット的な使い方以外にも色々と使えるということを言いたいとのことで"タブレット型"タッチデバイスという表記になったのだとか |
また同ブースでは、参考展示としてパイオニアが浮遊映像表示モニタ「フローティングビジョン」を出展している。同モニタは、空中に浮かんでいるように見える実像(3D画像)を、3Dメガネなしに見ることができるもの。これだけだと、裸眼3Dモニタと何が異なるのか、という話になるが、各種のセンサを組み合わせることで、その実像を自在にいじることが可能となっている。
例えば、今回のデモでは左にナビゲーション画面。右にOSのゴミ箱などのデスクトップ画面。真ん中に各種のアイコンなどを表示させるフローティングビジョンという配置のLCDパネル3枚を用いて、真ん中の浮いているアイコンに右から左へ手をかざすとナビ画面に文字通り飛んで行き、そのアイコンの効果が反映される。一方、いらない(間違えた)アイコンなどを呼び出した場合は、左から右に手をかざすと、ゴミ箱に飛んでいく、といった仕組みとなっている。
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同デモでは赤外線センサを用いているが、他のセンサにも対応可能で、お財布ケータイの機能と連動させたものもデモ展示されている。しかし、これが実際に、どんな機器に適しているのか、といったことはまだ未知数であり、そうした応用用途の模索も含めて、今回、参考出展という形で展示しているという。
このほか多くのベンダが自社ソリューションの展示を行っている。例えば、パナソニック電工が距離画像センサ「D-IMager」を用いたデモを行っているほか、日本マイクロソフトが「Windows Embbeded Device Manager(WEDM)」のデモを行っている。
D-IMagerは、近赤外線LEDと特殊CCDにより、レーザー光を用いずに対象の距離とジェスチャを認識するシステムで、測定距離は1.2m~9mとする。
一方のWEDMは、ネットワーク上にあるPOS端末などのHDDの稼働時間やLCDの表示時間などをホスト側で監視することができる管理ソフト。これにより、例えば機器保証時間の上限近くになった時だけ、保守・メンテナンスが可能になるなど、組込機器におけるメンテナンスの手間とコストの低減が可能となる。なお、日本マイクロソフトでは同ソフトなどの活用をパートナーらと紹介するイベント「Windows Embeddded フェア」を5月27日に東京・品川のコクヨホールにて開催する予定(参加費は無料)。