PC-98の資産を活用するソリューション
NECのブースでは、PC-9800シリーズ リプレイスソリューションとしてWindows XP上で動作するPC-98エミュレータの活用などが参考出展されている。いまさらPC-98か、という人も居そうだが、組み込み分野ではまだ1000台規模でPC-98アーキテクチャを活用している企業なども多く、NECではそうした企業のPCの置き換えと既存資産の活用の両方を実現する方法として、同ソリューションの提供を行っている。
単にWindows PC上でPC-98エミュレータが走る、というだけでは、実際のシステム資産の活用ができないが、同ソリューションは、図研エルミックが2011年初頭より販売を開始したPC-98のシステム資産をWindows PCで継続して利用可能なCバス拡張BOX「iNHERITOR II」を活用することで、ハードウェア資産の継承が可能となっている。エミュレータ用PCIボードとiNHERITOR IIを接続し、iNHERITOR IIのCバススロット(最大4枚)に挿し、NECが同社資産(N88-BASICおよびBIOS技術)の追加などを行うことで、従来とほぼ同等の環境を実現することが可能となる。また、NECでは、エミュレータ上で活用するソフトのタイミング調整なども行っている。
PC-98に思い入れのあるエンジニアや開発現場には良いソリューションだと思うが、気になるのは値段。条件や環境、台数などによって変わるため、単純にどれくらい、といった形では言えないが、担当者に聞いたところによると、ざっくりCバス拡張BOXだけで100万円、エミュレータの調整まで含めると300-500万円くらいになるとのことだ。
また、同社ブースではこのほかRFIDソリューションの紹介やUSB 3.0の組み込み向けFPGAソリューションの紹介などを行っている。USB 3.0ソリューションは、サードパーティのIPをインプリメントするサービスで、ドライバの開発のサポートなども行っている。
USB 3.0のホスト側ICはルネサス エレクトロニクスが提供しているが、同ソリューションはクライアント向けのものとなっており、ASIC、FPGAのいずれにも対応可能で、同社にてASICの受託開発ならびに製造も請け負うとしている。
Atom E600シリーズのIOHを提供
OKIセミコンダクタ/ロームのブースでは、5月10日にロームが発表したIEEE802.11b/g/n無線LANモジュールやOKIセミコンダクタが手がけるAtom E600シリーズ対応IOH(Input/Output Hub)「ML7213/7223(V)」、クロックジェネレータLSI、パワーマネジメントLSIなどの紹介が行われている。ちなみに、同IOHは先述したインテルのタブレット型次世代多機能タッチデバイスにも搭載されている。
また、同IOHとAtom E600シリーズ、1GBのDRAMを搭載したリファレンスボード「Takao 2」(開発コード名)の展示も行われている。リファレンスボードながら、実際の機器に適用することも可能。ただし、同ボードをそのまま同社が提供する予定はなく、担当者によると、ターンキーとしての提供なら対応可能、としている。
代わりに同ブースではソフィアシステムズの提供する車載装置開発プラットフォーム「Black Creek開発キット」などのデモ展示を行っている。同キットは、Atom E660を搭載し、Linux開発環境およびLinuxブート用HDD(160GB)が標準添付される。また、MeeGoにも対応しており、ユーザーはプロトタイプの開発を行うことが可能だ。
メモリはDDR2 SDRAM 512MBを搭載、5型WSVGAのLCDに加え、外部映像出力としてさまざまなサイズのタッチパネルを接続することが可能となっている。価格は定価が32万8000円で、オプションとしてGPSボード(6万8000円:税別)やJTAGエミュレータ(9万8000円:税別)などが提供されている。