アルバックは8月16日、真空計の校正事業として、製品評価技術基盤機構(NITE)が認定を行うJaoan Calibration Service System(JCSS)校正事業者として日本で初めて登録されたことを発表した。

日本の真空計の校正事業は、1960年代から約100Pa以下の真空領域では真空計の校正規格であるJIS Z 8750に基づき、マクラウド真空計および日本真空協会より供給された副標準電離真空計による校正が行われてきたが、規格上、不確かさ(値のバラつきを特徴づけるパラメータ)の概念が取り入れられていないなど、近年の品質管理に則した規格ではなくなりつつあり、また副標準電離真空計の供給も終了しているため、真空領域のトレーサビリティの確保が困難になってきているという問題があった。

このため、産業技術総合研究所 計量標準センター(NMIJ)より、膨張法による真空標準場発生装置を特定標準器、粘着真空計(スピニングロータ真空計)を特定2次標準器としたJCSS制度による標準供給(圧力領域:1×10-3~1Pa)が2005年より開始されているが、これまで登録された事業者はなかった。

また、JIS Z 8750は2009年に真空計校正の国際規格であるISO/IEC 17025(JIS Q 17025)に整合がとられ、全面改正が実施されており、改正されたJIS Z 8750では、ISO/IEC 17025の運用が求められ、国家または国際標準にトレーサブルな真空計を上位標準として校正を行い、校正証明書には不確かさを記載することが求められるようになった。

こうした変化に対応するため、同社では2006年より準備を開始、2010年6月に日本で初めてとなるJCSS校正事業者として登録されたという。また、国際MRA(Mutual Recognition Arrangement:国際相互承認)に対応した事業者としても認定され、これにより同社の校正室(神奈川県茅ヶ崎市)の校正サービスが、品質面でも技術能力の面でも国際レベルであるということが証明されたこととなり、その証となるJCSS標章付きの校正証明書の発行が可能となる。

JCSSに登録されたアルバックの真空標準校正室

同社の登録番号は「JCSS 0258」で、登録に関わる計量器が粘性真空計(特定2次標準器)、特定圧力領域が1×10-3~1Paであり、校正気体は窒素、最高測定能力(不確かさ)は粘性真空計が0.60%、熱陰極型電離真空計が3.0%となっている。

これにより、従来の校正値がNGかOKだけの判断ではなく、OKはOKでもどれくらいの範囲で信頼できるのかが判別することができるようになり、より高い精度を実現することが可能となる。

なお、アルバックでは、自社製品の校正だけではなく、他社製品も含め、現在カスタマが使用している真空計の校正も、標準パッケージを26万円で各営業所にて受け付けるとしているほか、今後はJCSS校正できる圧力領域の拡大を図り、真空計の校正サービスにおける幅広いカスタマニーズへの対応を目指していくとしている。