Wolfson Microelectronicsは、ポータブル・オーディオ・アプリケーション向けに、再生時間の延長を実現する低消費電力D/Aコンバータ(DAC)「WM8910」を発表した。

低消費電力D/Aコンバータ「WM8910」のパッケージ外観

同製品は、レジスタ書き込みシーケンサを搭載し、従来以上に容易なシステム設計を実現することが可能。また、グラウンド・リファレンスのヘッドホン・アンプを搭載したことで、「ポップ音およびクリック音性能の改善」および「外部部品数の削減」を実現している。

独自のスイッチト・キャパシタ方式を用いたDACアーキテクチャである「SmartDAC」テクノロジーを搭載。これにより、DACからヘッドホン出力への信号パスで消費電力を4.5mW未満に抑えることが可能となったほか、アダプティブ・デュアル・ドライブ・チャージ・ポンプおよびDCサーボ回路アーキテクチャを含んだクラスW アンプ・テクノロジー(クラスG の進化型)を搭載している。

このクラスW ヘッドホン・アンプ・テクノロジーは、音楽の信号レベルを正確にトラッキングし、アダプティブ・デュアル・ドライブ・チャージ・ポンプを使用して消費電力を最適化するだけでなく、ヘッドホン出力用の大型DCブロッキング・コンデンサが不要になるため、PCB上の所要スペースの削減およびオーディオ・サブシステムのBOMコストの削減が可能となる。

また、オーディオ性能も同社独自の「SlientSwitch」テクノロジーを集積したことで実現。クランプ回路とシーケンサー回路を集積したことでポップ音およびクリック音を抑制することが可能となっており、出力をグランドにクランプしたことで、電源立ち上げ時およびミュートオン/ミュートオフ時にヘッドホン・アンプ出力に発生するノイズの低減が可能だ。

さらに、レジスタ書き込みシーケンサを用いることでデバイス各部の電源立ち上げや電源立ち下げにプログラマブルな遅延時間を設けることが可能となり、ポップ音およびクリック音の軽減およびソフトウェア・ドライバの開発時間の短縮による市場投入に要する時間の低減が可能となる。