AMATの第1四半期は損失を計上
半導体製造装置大手の米Applied Materials(AMAT)の日本法人であるアプライドマテリアルズジャパン(AMJ)は、2月10日(現地時間)に発表した2009年度第1四半期(2008年11月~2009年1月)の決算概要(リンク先はPDF)に関する説明ならびに、2009年の注目分野に関する説明会を開催した。
同社の同四半期の決算概要は、前四半期比36.3%減の13億3,000万ドル、売上高総利益率は同9.7ポイント減となる29.4%、営業損益は前四半期の3億1,600万ドルの利益から売上高の15%相当となる1億9,600万ドルの損失へ、純損益は前四半期の2億3,100万ドルの利益から1億3,300万ドルの損失へとそれぞれ転落している。
AMJ 代表取締役社長兼AMAT副社長の渡辺徹氏 |
また、新規受注額は前四半期比59.2%減の9億300万ドルで、「主力の半導体、ディスプレイの両部門がともに振るわなかった他、それに伴うサービス部門も振るわなかった結果」(AMJ 代表取締役社長兼AMAT副社長の渡辺徹氏)という。同四半期の受注残は、前四半期の48億5,000万ドルから16%減となる40億5,000万ドルとなっており、「2億7,800万ドルの、特に中国での太陽電池向けウェハ製造装置などを中心に顧客側からの延期要求があった」(同)としている。
新規受注額の地域別構成は、「前四半期比の半分以下に落ち込んだ。特に台湾の半導体関係が急激に落ちた(前四半期26%から2%に下落)」(同)とのことで、他の地域は、北米が26%(ほぼ半導体)、欧州が39%(大半が太陽電池関係)、日本17%(大半が半導体)、韓国7%、東南アジア・中国が9%となっている。
部門別の新規受注比率は、半導体向け製造装置のSSG(Silicon Systems Group)が27%、サービスを中心とするAGS(Applied Global Services)が34%、エネルギーおよび環境系ソリューションを扱うEES(Energy and Environmental Solutions)が36%、ディスプレイが3%となっている。
各部門別に詳しく説明すると、SSGでは、売上高が前四半期比27%減となっている。これは、「DRAMおよびファウンドリ事業向けの売り上げが減少したため」(同)という。また、営業利益率は前四半期が売上高の24%だったのが今四半期では6.2%まで減少したが、「貸倒引当金費用の発生などがあったため、ここまで下落した。仮に引当金が無ければ、利益率は9%程度で止まった計算となっている」(同)とする。さらに、新規受注高は、前四半期比79%減で、「すべてのセクターにおいて、顧客の投資が削減された。特に少し前まではDRAMとフラッシュメモリが圧倒的な割合で投資を行っていたが、それが縮小している。プロセス別では、キャパシティの増強よりも32nm以降の研究開発に向けた投資が中心となっている」(同)と説明する。
AGSでは、売上高は同35%減で、「顧客の工場稼働率がかなり低いものとなっており、サポートの必要もなければ、保守部品などの販売にもつながらないような状況」(同)としており、その結果として、営業利益が前期比79%減、営業利益率は7%となった。「この分野も貸倒引当金が発生しており、それを除いた場合は11%程度にはなる計算だ」(同)という。ちなみに新規受注額は同38%減となっており、「現在の主な受注は半導体向け」(同)となっているという。
ディスプレイの売り上げは、前年同期の5億5,500万ドルから、前四半期では6,500万ドルに、今四半期ではさらに同55%減となる2,600万ドルまで落ち込んでいる。これについて、渡辺氏は「低レベルの顧客工場稼働率と新規装置の需要減によるもの」(同)とみており、それが営業利益の同77%減につながっているとする。新規受注額は前期比59%減で、「稼働率が低い状況で、在庫が残っている状態」(同)との状況と説明する。
EESは、「この部門の位置づけが今のAMATには重要。AMATとしても成長分野と見ている」(同)としている。売上高は前期比30%減、営業損益は前四半期の2,100万ドルの利益から6,500万ドルの損失へと転落した。「低調な結晶Si系装置の売り上げと、初期のSunFab(薄膜太陽電池製造ターンキーソリューション)の低い粗利益率が痛手となった」(同)とする。なお、新規受注高は、前四半期比34%減となっている。