2008年11月上旬、中国で「ネット中毒診断基準」が公表され、大きな議論を呼んでいる。ネット中毒を精神障害のカテゴリに分類。ネット中毒の基準として「毎日平均6時間以上の仕事や学業以外のネット利用」が示された。
「ネット中毒診断基準」とは?
「ネット中毒診断基準」の正式名称は「網絡成※臨床診断標準(ネット中毒臨床診断基準)」(以下、診断基準)。中国人民解放軍北京軍区総病院(以下、北京軍区総病院)によって策定され、専門家による審査を通過してから2008年11月上旬に公表されたものだ。
この診断基準において、ネット中毒とは、「人がインターネットの過度の利用を繰り返したことにより起こった精神障害の一種」と定義されている。さらに、その内容を「オンラインゲーム中毒」「ポルノ中毒」「ネット交友中毒」「ネット情報中毒」「ネット取引中毒」の5種類に分類。このうち、ゲーム中毒が最も多く、全体の8割を占めている。
同基準作成者のひとりであり、北京軍区総病院医学成※科主任の陶然氏は、ネット中毒症状として次のように詳しく定義している。
※はやまいだれに「隠」
第一に、インターネット利用に対し、強烈な切望感と衝動感を持つこと。第二に、ネット利用を減少したり、停止したりすると、体の不調、焦燥感、怒り、集中力欠如、睡眠障害などの「禁断症状」が起こってくること。第三に、下記の5つの症状のうち、少なくともどれかひとつに合致すること。
- 満足感を得るため、ネット利用のために使う時間や金銭を不断に増加させている
- ネット利用にあてる時間を自己管理できない。努力してもコントロールできない
- ネット利用に夢中で、ネット利用から生じうる危害を認識しても止められない
- ネット利用のため、その他の趣味や娯楽、社交を犠牲にすることがある
- ネット利用を問題回避、情緒安定のための手段にしている
これらを踏まえ、ネット中毒の診断基準は、「学習と仕事以外の目的に、毎日のネット利用時間が平均で6時間あるいはそれ以上に達し、ネット中毒症状にあてはまる時期が3カ月、あるいはそれ以上ある」と定められたのである。