ガラス窓上で生成する電気を利用し、ガラス窓の色や明暗を変えられる「インテリジェントウィンドウ」

建物のガラス窓で太陽光発電を行ったり、その電気を利用して窓ガラスの色を変えたりすることができる技術が韓国で発表された。

韓国政府の知識経済部によると、今回開発されたのは「建物一体型透明太陽電池(Building Integrated Photovoltaic : BIPV)」という技術。国立特殊大学の韓国科学技術院と、Samsung SDIからなる研究チームの手によるものという。

BIPVを利用したガラス窓は、薄く塗りつけた染料が太陽光を吸収して電気を作り出す。これは、「染料感応太陽電池(Dye-Sensitized Solar Cell : DSSC)」と呼ばれるタイプの技術で、比表面積が大きいナノ粒子に吸着させた染料が可視光を吸収して電子を生成し、それが透明電極に伝わるという仕組みで電流を発生させる。染料には「Sol-Gel素材」と呼ばれる素材が使用される。Sol-Gel素材とは、化学反応により低温でガラスやセラミックを作る工法「Sol-Gel法」を応用して作製したもののことを指す。

研究チームはさらに、そこで生成される電気を利用して、ガラス窓の色合いを変えることができる「光電気壁色技術」を開発。これにより、別途設備を設けることなく窓の色合いや明暗を調節することが可能になる。発電が行えるうえ、建物の外観を華やかに演出したり、状況に応じて直射日光を遮断したりすることもできるようになる。

今回開発された技術は、知識経済部が2002年から「次世代新技術開発事業」として推進してきた「Sol-Gel源泉素材・工程技術開発」事業の一環だという。同事業では次世代製品開発のための技術開発を目標に、知識経済部支援の下、民間企業が加わって5つの課題が進められている。2008年8月までに、政府60億9000万ウォン(約6億3640万円/1円=0.1045ウォン)、民間企業44億6,000万ウォン(約4億6600万円)もの投資予算が立てられているということだが、今回の結果は投資した甲斐があったというものだろう。

知識経済部では「この技術が商用化に成功すれば、世界市場への積極的な攻略ができる」と、今後に大きな期待を寄せている。

インテリジェント・ウィンドウでビルの外観を華やかに演出