NTTは14日、板バネを振動させることによりデジタル演算を行うという原理を用いた半導体素子を開発し、1ビット動作を確認したことを発表した。

開発された素子の心臓部は、長さ250μm、幅85μm、厚さ1.4μmの板バネで、これが約10nmの幅で振動する際の周期のずれを"0"もしくは"1"のビット情報に対応させることで1ビットの基本的な演算を行うことに成功した。

開発された素子の上面からの顕微鏡図

開発された素子の模式図

具体的には、板バネに沿って周期的な力を加え、振動させる。「上に曲がった」場合と、「下に曲がった」場合で振動の周期がちょうど半分ずれるため、半分だけずれた板バネの振動を"0"と"1"のビット情報に対応させ、デジタル演算を行う。

また、同社では、10pWの電力で半導体上の板バネの振動を自在に制御、検出可能な半導体素子を開発したほか、3つの電極を用いることで、板バネの振動を電気信号として取り出すことに成功しており、素子を連結することで、板バネでデジタル演算が可能になるとしている。

なお、同社では今後は、現実的なデジタル演算の実現に向け、複数の素子を結合させた動作を確認していく予定としているほか、より高い周波数、高い集積度、低消費電力を目指した微細化の研究を進めていくとしている。