国内ラグビーの最高峰・トップリーグはリーグ戦の全日程を終了し、17日からはリーグ戦上位4チームによるトーナメント方式のプレーオフ「マイクロソフトカップ」を行う。大会開催記者会見が12日、都内で行われ、出席した4チームの監督が大舞台への意欲を表明。また会見終了後、トップリーグ最高執行責任者(COO)の稲垣純一氏がマイコミジャーナルの単独インタビューに応じ、マイクロソフトをパートナーとしてのラグビーにおける社会貢献について語った。
社会人ラグビーの頂点を決めるマイクロソフトカップ
国内の社会人ラグビーはかつて東日本・関西・西日本(九州)の3地域に分かれてリーグ戦を行い、上位チームが全国社会人大会で覇を競っていた。全国の強豪が一つのリーグで争い、レベルアップと活性化を図るため、2003-2004シーズンから「ジャパンラグビー トップリーグ」が発足。現在は14チームが総当たり1回戦でしのぎを削る。前身である各地域リーグは2部リーグとして機能しており、入れ替え戦も実施されている。
トップリーグ開幕と同時にマイクロソフトカップも立ち上がったが、当初と現在では位置付けが全く異なる。03-04シーズンから05-06シーズンまでは、トップリーグのレギュラーシーズン終了後、上位8チームが参加してのトーナメント戦を行った。マイクロソフトカップ優勝とトップリーグ優勝はあくまで別のタイトルであり、「どちらかといえばトップリーグの方が価値が高い」という意識がファンの大勢を占めた。
冠スポンサーとしての価値を高めるべく、06-07シーズンより、トップリーグの頂点を決めるプレーオフ大会へと変貌を遂げた。大学チームなども出場する日本選手権を除けば、マイクロソフトカップの勝者が社会人ラグビー唯一の「勝者」となる。
記者会見の冒頭では、トップリーグの真下昇チェアマンがあいさつ。昨年9-10月に行われたラグビーW杯フランス大会で1分3敗に終わった日本代表について、W杯における連敗を13でストップしたことに一定の評価を示し、「トップリーグで激戦を演じ、グローバルな舞台で通用する選手を育成したい。マイクロソフトカップはトーナメントならではの味わい、厳しさ、駆け引きの妙を見せられるだろう」と述べた。
出場4チームの監督が舌戦
マイクロソフトカップは2月17日に準決勝2試合、24日には決勝が秩父宮ラグビー場で開催される。準決勝は、リーグ戦1位の三洋電機ワイルドナイツと同4位の東芝ブレイブルーパスが秩父宮ラグビー場で、同2位のサントリーサンゴリアスと同3位のトヨタ自動車ヴェルブリッツが近鉄花園ラグビー場で対戦する。
三洋電機はトップリーグの発足後初めて、13戦全勝でリーグ戦を制した。会見で宮本勝文監督は、昨シーズン5位でプレーオフ進出を逃した悔しさを踏まえ「今回の出場4チームのうち、昨年、この会見にいなかったのは三洋だけ」と苦笑いした上で「4強に入ることを目標にやってきたのでうれしい」。対戦相手の東芝は前回のマイクロソフトカップを含めトップリーグ3連覇中であり、「東芝に簡単に勝てるとは思っていない。王者に対する挑戦者として戦いたい」と述べた。
一方、連覇を続ける東芝は今季も優勝争いの主役と見られていたが、苦しい戦いが続きプレーオフ進出を最終節まで競い合った末、4位に滑り込んだ格好だ。瀬川智広監督は「シーズンには不本意な部分もあった」と認め、チーム立て直しへの苦労をにじませた。「王者という肩書きは付いているが、日本で一番強いチームである三洋電機と戦えることを喜びとしたい。この試合で終わってもいいというくらい、力を出し切りたい」と意気込む。
サントリーとトヨタ自動車のリーグ戦直接対決は、日程が組まれた時点で最終節と決まっていた。最終節の結果を待たず、マイクロソフトカップ準決勝での対戦は決まっており、9日の試合は腹の探り合いといった様相になるかと思いきや熱戦を展開。31-31のドローとなった。
約1週間後の17日に「本番」を迎えるにあたり、サントリーの清宮克幸監督は「トヨタと意地を張り合う試合を行ったばかりだが、意地がぶつかるのはどのチームも同じ。熱い試合ができると思う」と抱負。トヨタ自動車の石井龍司監督は「シーズン当初に3敗してしまい、この場に立てるとは思っていなかった。選手の頑張りのおかげであり、準決勝もトヨタらしい試合をしたい」と決意を述べた。
降雪の影響でリーグ最終節の日程に乱れが生じ、本来ならば4チームともマイクロソフトカップまで2週間の準備期間を得るはずが、東芝を除く3チームは中1週となった。この影響について記者から質問を受けた瀬川監督は、レギュラーに対して1週間の休養を与えたことを明らかにし、「三洋を分析し、いいイメージで試合に臨みたい」と余裕の表情。2週続けての対戦について対策を尋ねられた清宮監督が「スタッフの力が試されている」と答えたのに対し、石井監督は「うちはスタッフで負けているので選手で勝ちたい」と応戦し、場内を沸かせた。