25日(米国時間)、当初の予定どおりRubyの最新版となるRuby 1.9.0が公開された。Rubyはオブジェクト指向のスクリプト言語。当初からオブジェクト指向設計に基づいて開発されたプログラミング言語で、簡単にオブジェクト指向プログラミングが実現できるという特徴がある。文字列処理機能が優れているほか、オブジェクト指向言語でよくみられるクロージャ、イテレータ、ガベージコレクタ、例外処理、演算子オーバーロードなどの機能が実現されている。

RubyはRuby on Railsで一気に知名度をあげた。シンプルな記述でスマートなオブジェクト指向プログラミングができる点が開発者に注目されている。しかしながら、Rubyを実行するインタプリタがそれほど高速ではないと度々指摘されてきた。Ruby 1.9系には新しく開発されたRuby VMが搭載されるといわれていたバージョンで、前評判ですでに優れたベンチマーク結果を残している。RubyデベロッパやユーザにとってRuby 1.9.0は待望のバージョンというわけだ。

今回リリースされたバージョンは開発版と位置付けられている。このため安定版は依然としてRuby 1.8.6だ。プロダクトレベルで採用する場合はRuby 1.8.6を選択する必要がある。1.9系の安定版は1.9.1かまはたそれ以降のバージョンになるだろう。プロダクトレベルでの採用や入れ替えを検討している場合には、1.9系の安定版リリースを一つの目安に考えておきたい。

Ruby 1.9.0はC言語で実装されたバージョンとなるが、Rubyにはこれ以外にもほかの言語で実装された実行系がある。なかでも最近力をいれて開発されているのがJavaで実装されたJRubyXRubyだ。Ruby 1.9.0がリリースされたことで、これら実装も1.9系準拠へ向けた作業を固めてくることになる。Javaで実装されたJRubyやXRubyはJava実行環境の特性からサーバ用途で性能を発揮しやすい。また将来的にはマルチコア/プロセッサの性能をJava仮想マシンの機能を使って活用しやすいという特徴もある。Ruby関連のパフォーマンス向上はこれからも目が離せないトピックになるだろう。