配信元にとってのメリットは数多い。まずはブランディング(コンテンツに対するブランド付け)や広告配信が容易なことだ。配信するRSSやAtomに対してamp名前空間(http://www.adobe.com/amp/1.0)に属する要素をいくつか付与するだけで、ブランドロゴやバナーを挿入することができる。
広告の配信についても、W3C標準のSMIL言語に準拠した簡単なマークアップを行えば、元の動画にオーバーレイさせる形で、任意のタイミングで静止画や動画を配置することができる。
また、コンテンツがどれだけ閲覧されたかなどの情報を容易に参照することもできる。以下は、Flash Media Serverによって統計情報がクライアントに配信される様子を図にしたものだ。
そしてさらに重要なメリットとしては、配信コンテンツの著作権を保護するための仕組みが組み込まれていることだ。その特徴を挙げると以下のようになる。
- 保護されたストリーミング配信 - コンテンツは安全に配信され、かつローカルへの保存が不可能
- コンテンツの完全性 - ダウンロードしたコンテンツは、広告部分も含めて完全なものとなる。広告だけを除去することや、コンテンツをリミックスすることは不可能
- 一意性が保障されたライセンス - コンテンツを不特定の第三者と共有することは不可能
このようにAMPは、ほぼ無法地帯とも言える現在の動画配信環境に対して、一定のルールを課すことで安心してコンテンツの配信を行えるよう配慮しつつ、ユーザに対しては利便性が非常に高いプレーヤを提供する。Adobeが動画コンテンツの分野においてもデファクトスタンダードを狙うための、戦略の中心を担うツールだと位置づけていることがうかがい知れると言うものだ。
AMPの今後のロードマップについては基調講演では説明がなかったが、個別のセッションで以下のように発表された。リリーススケジュールは以下の図を見てもわかるとおり、2008年第一四半期に正式リリースを予定している。
また、今後追加される機能としては以下を予定しているとのことだ。
- ソーシャル機能
- ライブストリーミング
- 所有/レンタルのためのダウンロードを区別できるように
- Parental controls system(詳細については説明がなかったため不明)
- アクセシビリティの向上
- 可搬性
現在でもYoutubeなどに採用されるなど、動画配信フォーマットとしては70%以上のシェアを誇るとされるFlash Video。AMPや次期Flash Playerにより、より信頼に足る高品質なフォーマットとして認知されることは間違いないと言える。