BYDの軽EV(軽自動車の電気自動車)「ラッコ」は、サイズや室内空間だけを見ると、軽スーパーハイトワゴンの王者であるホンダ「N-BOX」 と十分に渡り合えることがわかった。では、実際に毎日触れることになるインテリアはどうだろうか。車内の質感で比べてみよう。

  • BYDラッコとN-BOX

    BYDラッコとN-BOXの車内を比較

クルマの満足度を大きく左右するのが、内装の質感や使い勝手だ。今回はラッコの最上級グレード「300Premium」と「N-BOX カスタム ターボ」を比較しながら、インテリアの完成度を検証してみたい。

  • ホンダ「N-BOX カスタム」

    「N-BOX カスタム ターボ」はFFが243.65万円、4WDが258.17万円

現行型(3代目)「N-BOX」の写真を一気に見る

  • BYD「ラッコ」

    BYD「ラッコ」は「200」(214.5万円)、「300Plus」(239.8万円)、「300Premium」(249.7万円)の3グレード展開

BYD「ラッコ」の写真を一気に見る

同じ軽スーパーハイトワゴンでもキャラが違う

内装を見比べてまず感じるのは、両モデルの目指す方向性の違いだ。

ラッコ300Premiumは、EVらしい先進性を重視したデザインを採用している。

一方のN-BOX カスタム ターボは、日本の軽自動車ユーザーが求める上質感や使いやすさを磨き上げたインテリアだ。

どちらが優れているというよりも、

  • ラッコ=近未来感

  • N-BOX カスタム=成熟の仕上がり

という印象を受ける。

ダッシュボードはラッコが先進的

ラッコの運転席に座ると、まず目に入るのが大型ディスプレイだ。

センターに配置された10.1インチディスプレイは存在感が大きく、EVらしい雰囲気を演出している。物理ボタンも残されているが、全体としてはデジタルデバイスを思わせる設計だ。

対するN-BOX カスタム ターボは、視認性や操作性を重視したレイアウトを採用する。

9インチのHonda CONNECT対応ナビゲーションを中心に、運転中でも迷わず操作できるよう各種スイッチが配置されている。

シートの質感は意外な接戦

今回比較しているラッコ300Premiumは、合成皮革シートを採用する。

しかも、

  • ブラック

  • ブラック&ベージュ

の2種類のカラーが用意されている。特にブラック&ベージュ仕様は軽自動車離れした上質感があり、車内を明るく見せる効果もある。

  • BYD「ラッコ」

    「ラッコ」の内装にはブラック&ベージュ仕様がある

一方のN-BOX カスタム ターボは、プライムスムースとトリコットを組み合わせたコンビシートを採用する。ホンダらしく縫製や仕立てが丁寧で、見た目以上に高級感がある。カラーはブラックのみだ。

  • 「N-BOX カスタム」のシート

    「N-BOX カスタム」のシート

シート単体で見るなら、

  • 高級感ならラッコ

  • 作り込みならN-BOX カスタム ターボ

という印象だ。

ラッコは電動シートが強み

装備面で目を引くのが運転席シートだ。

ラッコ300Premiumは6Way電動シートを採用する。軽自動車で電動シートを装備するモデルはまだ多くなく、この価格帯では珍しい存在といえる。

N-BOX カスタム ターボは運転席ハイトアジャスターを備えるものの、シート調整は手動式だ。

この部分はラッコのアドバンテージと考えてよさそうだ。

後席の快適性は?

後席については、さすが王者N-BOXと言いたくなる。

N-BOX カスタム ターボは、

  • スライド機構付きリアシート

  • リクライニング

  • ロールサンシェード

  • リアセンターアームレスト

  • シートバックテーブル

などを備え、乗員の快適性を高めている。

一方のラッコ300Premiumも、

  • 後席サンシェード

  • リアセンターアームレスト

  • 広い足元空間

を備えており、快適に過ごせそうだ。

荷室を広げるための後席のシートアレンジは、両モデルが同じ方式を採用。座席を跳ね上げる「チップアップ」と座席をたたんで沈み込ませる「ダイブダウン」だ。BYDがN-BOXを勉強した痕跡のようにも思える。

  • BYD「ラッコ」

    「ラッコ」の後席をダイブダウンさせたところ

  • BYD「ラッコ」

    「ラッコ」の後席をチップアップさせたところ

収納の発想はラッコが面白い

収納については両モデルとも充実している。

しかし考え方が異なる。

ラッコは30カ所の収納スペースを持ち、

  • 保温カップホルダー

  • シートバックポケット(前席の背面にあるポケット。スマホやタブレットを収納可)

  • シート下収納

  • センタートレイ

などを配置する。前席にある保温カップホルダーは温かい飲み物を温かいままキープできる便利装備。かなり珍しい装備だ。

一方のN-BOX カスタム ターボは、

  • ドリンクホルダー

  • シートバックポケット

  • 大型グローブボックス

  • コンビニフック

など、生活の中での使いやすさを徹底的に追求している。

収納の数やアイデアではラッコ、実績に裏打ちされた使いやすさではN-BOX カスタム ターボという印象を受ける。

上質感では互角の勝負

面白いのは、価格だけを見るとラッコ300PremiumとN-BOX カスタム ターボはほぼ同じレンジにありながら、内装の表現方法がまったく違うことだ。

ラッコは、

  • EVらしい先進感

  • 合成皮革シート

  • 電動シート

  • ブラック&ベージュ内装

で勝負する。

対するN-BOX カスタム ターボは、

  • 作り込まれた収納

  • 質感の高い加飾

  • 実用性重視の設計

で勝負する。

どちらにも明確な魅力がある。

結論:先進性のラッコ、完成度のN-BOX

インテリアを比較した結果、

  • 未来感や先進性ならラッコ300Premium

  • 作り込みや実用性ならN-BOX カスタム ターボ

という結論になりそうだ。

特にラッコは、日本市場向けにゼロから開発された軽EVでありながら、内装の質感でも十分にN-BOX カスタム ターボと戦えるレベルにあることが分かった。

一方で、長年にわたり軽自動車市場をリードしてきたN-BOX カスタム ターボの完成度もさすがというほかない。収納や後席の使い勝手には、ホンダが積み重ねてきた経験が随所に感じられる。

次回は装備対決。安全装備や快適装備、先進機能を比較しながら、ラッコ300PremiumとN-BOX カスタム ターボの実力差を検証してみたい。