BYDの軽EV(軽自動車の電気自動車)「ラッコ」は、サイズや室内空間だけを見ると、軽スーパーハイトワゴンの王者であるホンダ「N-BOX」 と十分に渡り合えることがわかった。では、実際に毎日触れることになるインテリアはどうだろうか。車内の質感で比べてみよう。
クルマの満足度を大きく左右するのが、内装の質感や使い勝手だ。今回はラッコの最上級グレード「300Premium」と「N-BOX カスタム ターボ」を比較しながら、インテリアの完成度を検証してみたい。
現行型(3代目)「N-BOX」の写真を一気に見る
BYD「ラッコ」の写真を一気に見る
同じ軽スーパーハイトワゴンでもキャラが違う
内装を見比べてまず感じるのは、両モデルの目指す方向性の違いだ。
ラッコ300Premiumは、EVらしい先進性を重視したデザインを採用している。
一方のN-BOX カスタム ターボは、日本の軽自動車ユーザーが求める上質感や使いやすさを磨き上げたインテリアだ。
どちらが優れているというよりも、
ラッコ=近未来感
N-BOX カスタム=成熟の仕上がり
という印象を受ける。
ダッシュボードはラッコが先進的
ラッコの運転席に座ると、まず目に入るのが大型ディスプレイだ。
センターに配置された10.1インチディスプレイは存在感が大きく、EVらしい雰囲気を演出している。物理ボタンも残されているが、全体としてはデジタルデバイスを思わせる設計だ。
対するN-BOX カスタム ターボは、視認性や操作性を重視したレイアウトを採用する。
9インチのHonda CONNECT対応ナビゲーションを中心に、運転中でも迷わず操作できるよう各種スイッチが配置されている。
シートの質感は意外な接戦
今回比較しているラッコ300Premiumは、合成皮革シートを採用する。
しかも、
ブラック
ブラック&ベージュ
の2種類のカラーが用意されている。特にブラック&ベージュ仕様は軽自動車離れした上質感があり、車内を明るく見せる効果もある。
一方のN-BOX カスタム ターボは、プライムスムースとトリコットを組み合わせたコンビシートを採用する。ホンダらしく縫製や仕立てが丁寧で、見た目以上に高級感がある。カラーはブラックのみだ。
シート単体で見るなら、
高級感ならラッコ
作り込みならN-BOX カスタム ターボ
という印象だ。
ラッコは電動シートが強み
装備面で目を引くのが運転席シートだ。
ラッコ300Premiumは6Way電動シートを採用する。軽自動車で電動シートを装備するモデルはまだ多くなく、この価格帯では珍しい存在といえる。
N-BOX カスタム ターボは運転席ハイトアジャスターを備えるものの、シート調整は手動式だ。
この部分はラッコのアドバンテージと考えてよさそうだ。
後席の快適性は?
後席については、さすが王者N-BOXと言いたくなる。
N-BOX カスタム ターボは、
スライド機構付きリアシート
リクライニング
ロールサンシェード
リアセンターアームレスト
シートバックテーブル
などを備え、乗員の快適性を高めている。
一方のラッコ300Premiumも、
後席サンシェード
リアセンターアームレスト
広い足元空間
を備えており、快適に過ごせそうだ。
荷室を広げるための後席のシートアレンジは、両モデルが同じ方式を採用。座席を跳ね上げる「チップアップ」と座席をたたんで沈み込ませる「ダイブダウン」だ。BYDがN-BOXを勉強した痕跡のようにも思える。
収納の発想はラッコが面白い
収納については両モデルとも充実している。
しかし考え方が異なる。
ラッコは30カ所の収納スペースを持ち、
保温カップホルダー
シートバックポケット(前席の背面にあるポケット。スマホやタブレットを収納可)
シート下収納
センタートレイ
などを配置する。前席にある保温カップホルダーは温かい飲み物を温かいままキープできる便利装備。かなり珍しい装備だ。
一方のN-BOX カスタム ターボは、
ドリンクホルダー
シートバックポケット
大型グローブボックス
コンビニフック
など、生活の中での使いやすさを徹底的に追求している。
収納の数やアイデアではラッコ、実績に裏打ちされた使いやすさではN-BOX カスタム ターボという印象を受ける。
上質感では互角の勝負
面白いのは、価格だけを見るとラッコ300PremiumとN-BOX カスタム ターボはほぼ同じレンジにありながら、内装の表現方法がまったく違うことだ。
ラッコは、
EVらしい先進感
合成皮革シート
電動シート
ブラック&ベージュ内装
で勝負する。
対するN-BOX カスタム ターボは、
作り込まれた収納
質感の高い加飾
実用性重視の設計
で勝負する。
どちらにも明確な魅力がある。
結論:先進性のラッコ、完成度のN-BOX
インテリアを比較した結果、
未来感や先進性ならラッコ300Premium
作り込みや実用性ならN-BOX カスタム ターボ
という結論になりそうだ。
特にラッコは、日本市場向けにゼロから開発された軽EVでありながら、内装の質感でも十分にN-BOX カスタム ターボと戦えるレベルにあることが分かった。
一方で、長年にわたり軽自動車市場をリードしてきたN-BOX カスタム ターボの完成度もさすがというほかない。収納や後席の使い勝手には、ホンダが積み重ねてきた経験が随所に感じられる。
次回は装備対決。安全装備や快適装備、先進機能を比較しながら、ラッコ300PremiumとN-BOX カスタム ターボの実力差を検証してみたい。







