阿部氏「このように、一見すると似ていても、よく見ると想像以上に大きな違いがあることがおわかりいただけると思います。続いて、いくつか実験をしてみましょう。まず、静電気を時計に放電させる静電気試験。人体に溜まった静電気が放出される瞬間を想定した試験です。

これからの季節(冬場)は乾燥しますし、セーターを脱ぐときなどに高電圧の静電気が発生することはよくあるので、時計が静電気に弱くては困りますよね。カシオの時計は静電気の影響を考慮した設計ですが、偽物はちょっとした静電気で誤動作したり故障したりします」

  • カシオの時計、本物 vs 偽物

    この静電気銃で時計の風防を直撃する。偽物の時刻表示が12時にリセットされた形跡があることに注目

そういいながら、静電気銃の銃口でチープカシオの風防をなぞっていく阿部氏。すると、偽物は一発で時刻表示がリセットされてしまった。一方、本物はまったく影響を受けない。

【動画:G-SHOCK 本物 vs 偽物】強い静電気にさらされた状況を再現。動画の時計は偽物で、液晶の表示がリセットされてしまった

【動画:G-SHOCK 本物 vs 偽物】強い静電気にさらされた状況を再現。動画の時計は本物。強い静電気を与えても、何事もなかったように動き続けた

小山氏「カシオの本物は外装設計で静電気対策をしていることに加え、静電気自体に強い高度なLSI(集積回路)を使用しています。偽物はそういった対策がありませんから、静電気が簡単に入り込んで、影響をモロに受けて誤動作してしまうのです」

続いて環境試験。時計を高温多湿な環境試験装置にセットし、短時間で経年変化を見る試験だ。今回は、あらかじめ装置に入れておいた本物と偽物のG-SHOCK用ウレタンバンドを用意していただいた。結果は、ご覧の通り。

  • カシオの時計、本物 vs 偽物

    環境試験の前にあえなく崩れた偽物のウレタンバンド

  • カシオの時計、本物 vs 偽物

    本物のバンドはまったく変化なし。まさに安定の強靭さ

松本氏「偽物は油のようなものが浮いてきてしまいました。すでに切れてしまっているものもありますね。実はさきほど、ちょっと触ってしまいまして……。成分の分析まではしていませんが、大丈夫かな……」

  • カシオの時計、本物 vs 偽物

    怪しい油のようなものが浮いてきている。人体への危険性も!?

小山氏「肌に直接触れるものなので、有害物質だと心配ですよね。かぶれたりする可能性はありますから。その点、カシオはかなり厳しく材料を吟味していますから、安心して身に着けていただけます」

小山氏の言葉を証明するように、本物のウレタンバンドは何の変化も生じることなく、元の状態を留めていた。そして、この環境試験を経たバンドを使って、さらに引張試験を行うという。バンドの上下を機械に固定し、上下に引っ張るのだ。

【動画:G-SHOCK 本物 vs 偽物】G-SHOCK用ウレタンバンド引張試験
※音声が流れます。ご注意ください。

その結果、偽物はまったく伸びることなく、あっけなく切れてしまった。一方、本物はおよそ20kgの力で引っ張り続けてもちぎれず、穴が楕円形になるまで伸び続けた。重ねて断っておくが、環境試験を経たバンドである。

  • カシオの時計、本物 vs 偽物

    完全に穴が楕円形に。本物は、ここまで伸びても千切れない!

  • カシオの時計、本物 vs 偽物

    本物(左)は、あれほど伸びたバンドがみるみる元に戻っていく。偽物(右)は残念の一言

松本氏「ウレタンバンドの試験では、太陽光に模した強力な光(紫外線)を照射する“耐光性試験”も行っています。一般に、樹脂は紫外線に非常に弱いので、色や性質の変化が起こらないかを見るための試験です。

資料をご覧ください(下の写真参照)。一定時間でマスキングしながら3段階に紫外線を当てています。偽物のバンドは最後にはまったく違う色になってしまいましたが、本物のバンドはほとんど変化がありません」

  • カシオの時計、本物 vs 偽物

    耐光性試験の結果。偽物のバンドは、最終的に別の色になってしまった

強度的性能だけでなく、人体に与える影響も徹底的に試験し、追求する。ここまでして初めて、「本物のG-SHOCKである価値」を認めてもらえるのだ。