G-SHOCKをはじめとするカシオウオッチは、今や日本を代表する世界的ブランドのひとつとなった。こうなると必ず出てくるのがコピー品、いわゆる「偽物」だ。しかも厄介なことに、外見を一見しただけでは、本物との区別が付きにくいものも少なくない。

そこで今回は、カシオ社内で実際に行われている性能テストを交え、本物と偽物の品質と性能を比較・実証。そしてあなたは、衝撃的な結末を目にすることとなる!

  • カシオの時計、本物 vs 偽物

    「壊れない時計」のG-SHOCK(意図的に壊そうと思えば、壊すこと自体は可能)。こ、この姿は果たして……

解説と実験のアテンドをしてくださったのは、カシオ計算機 品質保証部の小山睦氏、松本卓也氏、阿部亮史氏だ。

  • 左から、カシオ計算機 品質保証部の小山睦氏、阿部亮史氏、松本卓也氏

    左から、カシオ計算機 品質保証部の小山睦氏、阿部亮史氏、松本卓也氏

さっそく、以下の写真をご覧いただこう。2本のうち、「本物」のカシオウオッチはどちらだろうか? 微妙にモデルが違ったり、使い込みの度合いに差があるので、より判断が難しいところではあるが……。

  • カシオの時計、本物 vs 偽物

    液晶の文字までそっくり!

  • カシオの時計、本物 vs 偽物

    表面より差がわかりやすい裏側。裏ぶたの刻印がヒントか

正解は左側(「3:12 00」と表示されているほう)。右側は偽物だ。

阿部氏「このケースは樹脂製で、そこにメッキ処理をしています。よく見ると、偽物は稜線がダレていたり、天面の表面が微妙に波打っているなど、加工の精度が低いですね。メッキも雑で、押しボタンのふちにメッキのバリが残っています。これが指に当たるのがイヤですね」

  • カシオの時計、本物 vs 偽物

    偽物(手前)の側面。面やエッジの造形・仕上げが雑

  • カシオの時計、本物 vs 偽物

    本物の側面。偽物より仕上げが細やか

そういわれれば、確かにそうだ。傷や剥げが目立つのも、単なる使い込みの度合いだけでなくメッキの品質の低さに起因するのかもしれない。

小山氏「裏側を見ていただくと、さらに違いがよくわかります。まず、本物は中国製なので“MADE IN CHINA”と刻まれていますが、偽物には“JAPAN”と(笑)。

また、本物は裏ぶたにヘアライン処理をしていますが、偽物にはこれがありません。CASIOのロゴもちょっと違いますね。ロゴつながりでいうと、バンドのバックルに刻まれているカシオのロゴも違っています。偽物は書体が別物で、加工精度も低い。いわゆる“チープカシオ”と呼ばれる製品でも、ここまでの差が出てしまうんです」

  • カシオの時計、本物 vs 偽物

    偽物(右)のバックル刻印は書体、精度ともに違和感満点

では、次のケースをご覧いただこう。G-SHOCKのアナデジコンビ、ビッグフェイスモデル「GA-710」だ。さて、本物はどっち?

  • カシオの時計、本物 vs 偽物

    どちらが本物の「GA-710」?

正解は右側。左側は偽物。

もっとも大きな違いは秒針。本物はアナデジコンビなので秒針をダイヤル上半分のデジタル窓が請け負っているが、偽物にはなんとアナログの秒針がある。時分針も立体感がなく、平面的だ。おまけに下部のデジタル窓にもなぜか秒表示がある。が、当然アナログ針とは連動していない(※正規品でも機種によっては連動しないものもございます)。

  • カシオの時計、本物 vs 偽物
  • カシオの時計、本物 vs 偽物

    アナログ秒針とりゅうずがあるほうが偽物(写真上)。インデックスを作り起こしているのには感心するが、やはり本物のほうがが立体感ある精悍なデザインだ

阿部氏「安価な汎用のアナログクォーツムーブメントとデジタルムーブメントを調達してきて、単純に組み込んだと思われます。だからケースはGA-710の形なのに、りゅうずがあるんですよ(笑)」

  • カシオの時計、本物 vs 偽物

    G-SHOCKに似合わない、いかにも汎用のりゅうず。パーティングラインも出まくり