「映像+数値」が新しい発見を可能に

―― 検出の感度もいいですよね。それでいて、細かな揺れのようなノイズは拾っていないように見えます。感度の調整をすごく苦労されているのでは?

岩本氏「はい(笑)。羽村技術センターにゴルフレンジを作り、そこで日々スイングをしながら何度も何度もデータを取って調整をかけています。というと、楽しそうとよくいわれます(笑)。確かに上手くいくと楽しいのですが、思うようにいかないと出口の見えないトンネルに入ってしまうので……。

スイングする人の周辺360度にモーションキャプチャーの機械を設置し、それと比較しながら、ウェアラブルセンサーを調整しています。かたや数百万円もするモーションキャプチャーの装置で、センシングポイント(ピンポン球みたいなアレ)も全身に装着するタイプ。一方、こちらは腰に1個だけ付ける3万円前後のセンサー。これはまだ調整中のデータですが、腰の動きについてほぼ同等の結果が出ています」

高価なモーションキャプチャー機器とCMT-S10Gの検出結果のグラフ(調整中)を見せてくれる岩本氏

―― 製品化のためのヒアリングやサンプリングも、たくさんされたのでは。

野嶋氏「それはもう(笑)。先日のカシオワールドオープンでも、先行的にプロから一般のお客様まで試してもらい、感想や意見を伺いました。もちろん、データも取らせていただいています。あるプロの方は右に曲がるクセがあるとのことで、それを気にしながら一生懸命フォームを見直されていました。結果、『使えるね』との評価をいただいて。レッスンプロの方からも『面白い』と好評でした。

一般のお客様は、それぞれの数値の意味がわからないと仰る方が多かったですね。でも、説明すると「なるほど」と、すごく納得して理解していただける。やはり、数値化して自分を知ることが大事なんです。スイング映像だけでわかることもたくさんありますが、数値がさらなる説得力と視点を加えてくれる。これが理解と問題解決を促す大きな力になります」

―― 素人では数値の見方がわからないという話がありましたが、それらについてアドバイス機能があるといいのでは? 理想的な数値から外れると赤で表示されるとか、パッと見て直すべき部分がわかるといいですね。

岩本氏「アドバイス機能的なものは現状では入っていませんが、ぜひやってみたいですね。アプリも発展可能性がまだまだありますので」

野嶋氏「レッスンプロが使い方や数値の見方を解説した、小冊子を作りました。また、解説動画をYoutubeにアップしましたので、ご利用いただければと思います。それから、比較に活用していただけるプロゴルファーの映像やセンシングデータも、いずれネットからダウンロードできるようにしたいですね」