「数値で自分を知ること」の重要性

―― タブレットの画面に映像が映し出されました。

岩本氏

使用する時は、まず最初にウェアラブルセンサーの補正を行います。アプリの指示に従って、真っ直ぐ立つ、アドレスの構えをする……。トータル10秒ほどで完了です。これにより、個人の構えの違いや取り付け誤差を自動補正しています」

アドレスの姿勢を検出して、キャリブレーション完了

カシオ計算機 QV事業部 岩本健士氏

―― あっ、数値と体の軸を表す3DCGがリアルタイムで動いていますね。

野嶋氏「これはカメラからのスルー映像とセンサーからの数値をリアルタイムで表示するモードです。CMT-S10Gが検出したプレイヤーの腰の動きを、数値と軸の3Dアニメーションで表示します」

スルー映像とともに、検出した数値と軸を表現した3Dアニメーションがリアルタイムに変化して表示される

―― それぞれの数値には、どんな意味があるのですか?

野嶋氏「身体の前傾は20度くらいが標準的かと思います。アドレスからトップまでこの角度が維持できると、上手くミートする率がアップします。回転角は、バックスイングからフィニッシュ時点まで、合計160度以上になるように回すと良さそうです。これは飛距離アップにつながります。水平は、アドレスからインパクトまでできるだけ維持すると、安定感がアップします。

リアルタイム表示モードは、これらを意識しながら繰り返しトレーニングする際に便利です。ゴルフスクールに通っている人はおわかりいただけると思うのですが、レッスンで習ったことを再び家でやろうとしても、なかなか正確には再現できません。でも、指標となる数値が出れば、自宅で練習するときも再現しやすいですよね。繰り返しやって体に覚え込ませるという練習がどこででもできます。

ちなみに、このモードはカメラを使わなくても動作するんですよ。もちろん映像は出ませんが、数値と3Dアニメーションだけ表示されればいいというゴルファーには、この使い方もおすすめです」

―― この数値を目指して練習すれば上手になるわけですね。

野嶋氏「基本がしっかりする、といったほうが正しいでしょうか。実際には、自分のクセがわかるとか、それをどう変えていくかの研究に役立つといった部分が大きいと思います。たとえば、どうしてもスライスしてしまう人が『なぜそうなるのか』という原因を数値で理解できるのは大きい。矯正すべき量(角度)が『何度』なのか具体的にわかりますし。これはプロの方やレッスンに通う一般の方にものすごく使えると思うんですよ。

また、フェード系の方とドロー系の方では、インパクト時の腰の開き方が違いますよね。自分の目指したいスタイルに合わせて、腰の回転角度を調整してみる、といった使い方もできます。ゴルフは各個人の持ち玉もあるので、絶対的な数値というのは難しいですね。でも、自分なりの指標は確実に導きやすくなると思います。

岩本氏「では、次に撮影モードを試してみましょう。カメラの前でアドレスしてみてください。センサーがアドレスを検出して撮影が自動的に始まりますので、スイングしてください」

アドレスの目安となる人型ガイドと、腰の動きの3Dアニメーションを表示

EXLIM Analyzer for GOLFを使用して、詳細な角度数値とスロー再生で分析