カメラ部と液晶モニター付きコントローラー部が分離合体する、セパレートスタイルのデジタルカメラ、カシオ「EXILIM」のニューカマー「EX-FR100」(以下、FR100)。先に発売された「EX-FR10」(以下、FR10)のコンセプトを継承しつつ、機能・性能面で大きな進化を遂げたという。ただ、デザインやサイズもFR10にかなり近いため、外観からはその差がわかりにくいのも確かだ。そこで、FR100の開発スタッフを直撃。どこがどのように進化したのか、詳しくお話を伺った。

EXILIM「Outdoor Recorder EX-FR100」の本体カラー、イエロー、ブラック、ホワイトの3色

外観をほぼ変えずに、レンズと液晶モニターをグレードアップ!

今回ご対応いただいたのは、カシオ計算機 QV事業部の是木卓氏と吉沢賢治氏。是木氏はFR100の商品企画を、吉沢氏はFR100のソフトウェアを担当されたとのこと。

カシオ計算機 QV事業部 是木卓氏

カシオ計算機 QV事業部 吉沢賢治氏

―― あらためて並べてみても、FR10とFR100はよく似ていますね。今後も店頭で両機が併売されるとのことで、それぞれどこが違うのか気になる人も多いと思います。

是木氏「そうですね。FR100は、FR10で好評のフォルムとサイズをできるだけ変えないよう、むしろ強く意識してあのデザインに納めているんですよ。カメラ部のカバーは、FR10とはデザインが若干異なりますが、互換性を確保しています(編注:アタッチメントを共用できる)」

EX-FR10(左)と新製品のEX-FR100(右)。レンズと液晶モニターを刷新しつつ、外観の印象はかなり近い

FR100のカメラ部のカバー。首の部分が微妙にFR10のそれと異なる

―― パッと見て違いがわかるのは、レンズと液晶モニターでしょうか。

是木氏「その2つは大きなポイントですね。レンズは、FR10の焦点距離21mmに対して、16mmを採用しました。より広角になって広い範囲が撮れるようになっただけでなく、臨場感も増したと思います」

FR100の16mmレンズ部分。横から見ると、高さとともに作りの良さが理解できる

吉沢氏「FR10の21mmレンズでも、市販のデジタルカメラとしてはかなり広角なんですよ。でも、普通のカメラのような手持ち"以外"で撮ることも想定したFR100では、さらに広い画角が欲しかったのです。

セルフィー(自撮り)時のメリットも大きい。自分の背景がより広く写ることに加えて、友達と一緒に撮っても2~3人は多く写れます。腕を伸ばすだけで。

普通に風景を撮っても、16mmの臨場感はすごいんです。『16mmの単焦点レンズが付いたデジタルカメラが欲しかった』という理由で、FR100を選んでくださるお客様もいらっしゃるんですよ。このレンズはFR100用の新規設計でコストもかかっているのですが、16mmにしたのは正解でしたね」

「16mmレンズは撮れる範囲が広く、画面に入る情報量も多いため臨場感が違う」と是木氏

吉沢氏が撮影したセルフィー画像を見せてくれた。腕を伸ばして撮影しただけだが、背景にスタジアム全体が写っている

―― 液晶モニターは、ひと回り大きくなりましたね。

是木氏「FR10は2インチですが、FR100では3インチにしました。持ち運びを考えると、2インチがベストと私は思います。でも、タッチパネルの操作性や再生時の見やすさを考えると、やはり3インチは必要という声も多くありました。液晶の性能も向上しており、見やすくなったというご意見を多くいただいています。

液晶モニターをインチアップしてもコントローラーのサイズはなるべく変えたくなかったので、色々と工夫をしています。たとえば、FR10ではコントローラー下部にストラップホールを兼ねたフックがあったのですが、これをなくして、背面にストラップホールを新設しました。液晶モニターが大きくなる代わりに外形が大きくなってしまったり、機能を削減することになっては意味がないと思ったので」

左側(コントローラー部背面)の細長い2本の穴が、ストラップホール