先日、若い人気俳優が大麻取締法違反の疑いで逮捕されました。この俳優は30代ですが、芸能人に限らず、若い世代が大麻で検挙される件数が増えています。警察庁の発表によると、大麻に関しては20代の検挙人員がもっとも増加しており、次いで増えているのは20才未満。30代以降は横ばいだそうです。

  • 絶対に薬物には近づかないように

  • 人口10万人当たりの大麻事犯検挙人員の推移(出典:警察庁「令和4年における組織犯罪の情勢」を元に政府広報オンラインが作成したもの)

若者が大麻を使うきっかけは友人からの誘いが多く、「リラックスできる」「合法な国もあるしタバコみたいなもの」(出典:厚生労働省「今、大麻が危ない!」)と声をかけられて手を出してしまい、徐々にやめられなくなって自ら購入するようになるケースが目立ちます。

昔は大麻を購入したいと思っても入手ルートすら分からない人が多かったと思いますが、現在はその気になればSNSで入手できてしまいます。「野菜」や「手押し」といった隠語でTwitterを検索すると、「手押し(手渡し)」できる場所や価格、ブロッコリーやかき氷の絵文字などが記載されている投稿が見つかります。絵文字も隠語の役割を果たしており、ブロッコリーは大麻を指します。かき氷は「アイス」、すなわち覚せい剤のことです。

そこには、Telegramアカウントへのリンクが貼られています。Telegramとは、チャットをメインとしたメッセージアプリ。一定の時間が経過すると、お互いのアプリからメッセージが自動削除される機能を持っています。またiPhoneの場合、スクリーンショットを撮影すると相手に通知が飛びます(Androidでは撮影できません)。Telegramのほか、LINEアカウントへのリンクも用意されていることもあります。大麻が欲しいと思ったら、TelegramやLINEでこうしたアカウントに連絡を取って入手できてしまうのです。

  • Telegramの「シークレットチャット」は、指定した時間でメッセージを消すことができます

SNSで密売を始めた高校生も逮捕されている

2023年5月には、兵庫県内の高校生や専門学校生が大麻取締法違反(営利目的所持)で逮捕されています。彼らは地元の友人同士で、大麻やコカインを営利目的で所持し、TwitterやInstagramなどに広告を出して密売していたそうです。動機は「自分が大麻を吸う資金を得るために密売した」とのこと。大麻が彼らの生活に密着していたことを感じさせます。

こうした事態に、SNSを提供するプラットフォームも手をこまねいているわけではありません。例えばInstgramは、「手押し」と検索すると「一部の投稿がInstagramのコミュニティガイドラインに違反している可能性があるため、#手押しの最近の投稿は非表示になっています」と表示されます(該当する投稿を表示しません)。それでもかいくぐってしまう投稿や広告もあるのかもしれませんが、健全なプラットフォーム作りを目指している姿勢は見て取れます。

行政も啓発活動に力を入れています。政府広報オンラインでは、『若者を中心に大麻による検挙者が急増!「誘われて」「興味本位で」が落とし穴に。』というページを掲出し、大麻の危険性や罰則、大麻成分入りの食品、相談先について解説しています。

動画共有サイトなどでは、ドラッグやオーバードーズ(市販薬の過剰摂取)している様子が数多くシェアされています。「面白そう」「1回だけ」と気軽な感覚で始めると、取り返しのつかない事態になってしまいます。絶対に薬物には近づかないようにしましょう。そして、保護者の方々はお子さんに薬物の危険性を話してあげてください。