TwitterがAPI呼出の回数制限で見られなくなった――。Twitterの利用制限によってツイートを読み込めないユーザーが続出、嘆きの声をあちこちから聞くようになりました。いよいよTwitterから別のサービスへ移るときが来たとの機運が高まるなか、メタのマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は、テキスト共有アプリをリリース予定であることを発表。そして米国時間の2023年7月5日、メタはテキスト共有アプリ「Threads(スレッズ)」を前倒しで開始しました。Threadsは公開からたった2日間で7,000万の登録者数を突破、好調なスタートを切っています。
Threadsはテキストを中心に画像や動画を投稿したり、ほかのユーザーの投稿にいいねや返信、再投稿したりできるアプリです。利用するにはInstagramのアカウントが必要で(サービス開始時点)、iOSとAndroidに対応しています。パソコンではユーザーの投稿単位での閲覧はできますが、自分のアカウントでログインして閲覧、投稿することはできません。もしかすると、アプリ先行だったInstagramと同じように、今後はパソコン環境もサポートされるかもしれません。
ThreadsはTwitterにとてもよく似ています。とはいえ、テキストは最長500文字まで、画像や動画は最大10枚、動画は最長5分までと、Twitterの一般ユーザーよりも多くのテキストやメディアを投稿できます。いいね数や返信数は表示されますが、RT(リツイート)にあたる「再投稿(リポスト)」の数は表示されないため、拡散されている投稿よりも、いいねや返信を重要視しているようです。
また、Twitterは最新の情報を検索するツールとしても使われていますが、Threadsではハッシュタグやキーワードによる投稿の検索はできません。検索画面ではアカウントの検索のみ可能。ただし今後、Threadsでもハッシュタグやキーワードによる検索に対応すると、メタのアダム・モッセーリ氏がThreadsに投稿しています。
アダム・モッセーリ氏はフィードについても述べています。Threadsのフィードは、自分がフォローしている人だけの投稿だけでなく、Threadsがおすすめする投稿も表示されています。そのため、「自分がフォローしていないアカウントの投稿は見たくない」というの不満の声も。Twitterでもフォローしていないツイートが表示されますが、タイムラインを「おすすめ」か「フォロー中」で選べます。アダム・モッセーリ氏は、今後Threadsにもフォローしている人限定のフィードを用意すると表明しています。Twitterと同じように切り替えられれば、フィードが見やすくなりますね。
ほか、ThreadsにはDM(ダイレクトメッセージ)機能がないこともTwitterとの違いですが、こちらもサポートされそうです。
Threadsには、安心安全なプラットフォーム作りを心がけているInstagramの姿勢も表れていると思います。Threadsに見られるInstagramらしい機能としては、16歳未満(一部の国によっては18歳未満)の利用者は青少年保護のために「非公開プロフィール」が初期設定となることや、自分にメンションできる人を制限するといったもの。サービス開始の段階から、ユーザーを守るための機能を取り入れています。また、Threadsの投稿をInstagramのストーリーズやフィードにシェアできる連携機能も用意されています。
Threadsを始めて2日間の感想
Instagramを利用していれば登録がたやすく、Instagramでフォロー関係にある人とすぐつながれるなど、Threadsは始めやすいサービスです。アプリを起動すればすぐに知り合いなどの投稿が表示され、新しいSNSを始めたときの「ぼっち感」はありません。投稿もテキストで一言書くだけでいいので、写真主体のInstagramに投稿しづらかった人たちも気軽に参加できるのではないでしょうか。
こうしたハードルの低さもあって、初日から利用を開始する人が多く、「フォロー通知が鳴りやまない」という声も多く聞かれました。私もさっそく登録しましたが、初日からこんなに多くの人で盛り上がっているSNSはかつてなかったと思います。
Twitterに似ているとはいえ、複数の画像や動画は横スクロールで表示される新鮮さや、Instagramのポリシーに沿った健全な投稿を見られることから、Twitterとは異なる空間ができていることを感じます。怪しいスパムメッセージの通知が一切来ないことも快適です。また、マーク・ザッカーバーグ氏は「ユーザーが10億人に達するまで収益化を考えない」という主旨の投稿をThreadsにしており、当面は広告がフィードを埋めることもなさそうです。
また、JASRAC(日本音楽著作権協会)がThreadsと利用許諾契約を結んだと7月6日に発表しており、今後はInstagramやFacebookと同様に楽曲を使った投稿が可能になることが期待されます。
さらにメタは、近日中に分散型SNSの標準プロトコル「ActivityPub」に対応する予定だと述べています。ActivityPubに対応すると、「Mastodon」や「WordPress」のようなActivityPubをサポートする別プラットフォームと相互運用が可能になります。
InstagramやFacebookは、APIを公開するなどして外部のアプリと接続させることはせず、グループ企業のプラットフォームに閉じていました。一方でThreadsは、もしThreadsをやめても、ほかのプラットフォームでThreadsのユーザー名を引き続き利用して活動できます。このオープンな姿勢がこれからのSNSには必要不可欠と判断したのかもしれません。
「ThreadsはTwitterの代わりになるか」と始めてみたユーザーのなかには、「やっぱりTwitterが好き」と戻った人も多くいます。自分が居心地がいいと感じるSNSを楽しむことが一番です。ただ、初日の盛り上がりぶりや今後の発展性を考えると、Threadsには楽しい未来が開けているように思います。まだThreadsを始めていない人は、ぜひ試してみてくださいね。