春は進学の季節。私のSNSにも、我が子の進学を喜ぶ親御さんの声があふれています。他人事でもうれしい気持ちになりますね。

さて、イマドキの中高生は進学先が決まると、何を始めると思いますか? それは「SNSで友だち作り」です。TwitterやInstagramで「#春から〇〇(〇〇には進学先の学校名が入る)」とハッシュタグを入れて投稿して、同じ学校に入学する人とつながるのです。

  • 「#春から〇〇」の投稿例(筆者作成)

「#春から〇〇」投稿をしたあとは、同じハッシュタグを付けた人とフォローし合ったり、DMでメッセージを送り合ったりして交流します。その関係から、新入生で作ったLINEグループに招待してもらえることもあります。

こうした投稿は、これまでのSNSアカウントを使うのではなく、進学先専用のアカウントを新規に作る人が多いです。新たなアカウントで気持ちを切り替える意味もありますが、相手に過去を知られるのが恥ずかしい、トラブルなどで使いづらくなったらアカウントごと消せる――といった理由もあります。

入学前に知り合いができれば、「課題は終わった?」「制服の注文した?」など、入学前の準備について相談できますね。入学式のときには、すでに知り合いが何人かいるのも心強いもの。つながりを増やすだけではなく、情報を得るためにも「#春から」は便利です。今は部活やサークルも公式アカウントを作り、新入生の勧誘や活動日などの情報を投稿しています。進学先用のアカウントなら、質問もしやすいですね。

この連載では2019年にも「女子高生の友だち作りは入学前から始まる」で「#春から〇〇」ハッシュタグについて紹介しましたが、それから約3年が経ち、今やほとんどの学生が「#春から〇〇」を活用している状況になっています。コロナ禍で思うように動けないことも増えた理由でしょう。

しかし、入学前の友だち作りが広まったことで、悪用されるケースも目立つようになってきました。学生以外から、怪しい連絡が来るのです。

新入生を狙う怪しいDMに注意

「#春から〇〇」で大学名を投稿している人は、18歳以上であると公表しているようなもの。2022年4月1日から成年年齢が18歳に引き下げられるため、親権者の同意なく契約を結ぶことができるようになります。しかし、まだ社会的には未熟なため、悪質な大人のターゲットとなりやすいのです。実際に、さまざまな勧誘がDMに寄せられます。

例えば、「投資をしませんか」といった儲け話で契約を結ばされたり、「ネットビジネスをしませんか」と言われ、情報商材を買わされるケースがあります。「高額のアルバイトがある」と、振り込め詐欺の受け子といった犯罪にかかわるアルバイトに誘われることもあります。

新入生や先輩になりすまして近づいてくる大人も。マルチ商法や特殊な思想を持った団体への勧誘など、学校の仲間を装って連絡をしてきます。しつこく会いたがるDMが来たら、性的な目的を持っている可能性もあります。

もし皆さんの周りに新入生がいたら、ぜひリスクについても説明してあげてください。このような怪しいDMを受け取ったら、「アカウントを知られているから」と恐れず、すぐに「ブロック」することをおすすめしてほしいです。悪質だと感じた場合は、各SNSに「報告」をすると、アカウントが精査されます。正しく対応してくれるので、被害の拡大を防ぐことにもつながります。

コロナ禍で学生生活のオンライン比重が高くなっていますが、ネットのおかげで学びを止めずに済んでいます。春から新たな生活のスタートを切る皆さんには、ITリテラシーも学びながら、楽しく過ごしてほしいと願っています。