新型コロナウイルスの影響で学校の授業を自宅で受けるのが当たり前になっています。オンライン授業では教室の授業同様、先生が黒板やホワイトボードに書いたものを説明し、生徒は自宅のPC画面でそれを見て勉強するというのが一般的なスタイルでしょう。会社の会議などでも登壇者がホワイトボードに書き込み、それをカメラで写してシェアする、ということがよく行われます。

このようなリモート授業、リモート会議に便利なホワイトボードが海外で販売されています。透明なパネルを使ったLightspeed社の「eGlass」です。

  • オンライン授業や会議に便利な「eGlass」

eGlassはマーカーで書き込み可能な透明なボードの向こう側に、カメラが備え付けられています。つまり書き込んでいる人物をリアルタイムで撮影できるのです。

  • eGlassの構造。文字の書ける透明なボードの向こうにカメラがある

  • 透明なボードにはマーカーで書き込みが可能

ボードが透明なので、カメラは人物だけではなく、マーカーで書き込まれた文字や絵もそのまま撮影し、PCやTVに動画として出力できます。もちろんインターネットを使った配信も可能です。ただしカメラ越しに撮影するので、書いた文字が反転してしまいます。そこでeGlassは全体を反転させて出力するのです。

  • カメラ越しの映像は、書いた文字が反転してしまう

  • 出力時は自動反転させ文字を読めるようにする。人物の顔は反転しても気にならないだろう

透明パネルに書いているので、向こう側は透けて見えます。実際の教室や会議室なら生徒や参加者の様子を見ながら書き込み、話をすることができます。またeGlassをノートPCに接続すると、PC側のアプリ画面にオンライン授業や会議に参加しているメンバーを投影することも可能です。

  • eGlassにノートPCを接続。グラフを読み込んで書いている様子。オンライン参加者も見える

  • 自宅でオンライン授業を受けている生徒のPC画面。先生の顔を見ながら書いている内容を見ることができる

このシステムは特にオンライン授業で便利でしょう。ホワイトボードを使う場合、先生が背を向けてホワイトボードに書き込み、書き終わったら生徒のほうを向いて説明します。先生が背中を向けている時間は意外と長いもので、その間、生徒の集中は切れてしまいがちです。

  • 一般的な授業(左)。後ろを向いている時間が多い。eGlassなら常に先生が顔を見せている(右)

一方、eGlassなら先生は透明ボードに文字を書きながら、顔の表情も交えてしゃべりながら説明を行えます。生徒のほうは先生の顔を見ながら「ここは重要だ」といった内容を読み取ることもできるわけです。

  • 自宅でノートPCを使っているイメージ。先生の顔を見ながらなので集中力も途切れない

eGlassには録画ボタンもあるので、ビデオに残しておけます。オンライン授業はもちろん、会議の議事録として残すこともできます。eGlassの主な用途は教育市場向けのようですが、会社で会議用に使うのも便利でしょう。複数名で文字を書き込んだりしてもそれをそのまま録画しておくことができますし、ブレーンストーミングするときには相手の顔を見ながら話しができるからです。

  • 主なオンラインビデオ会議システムに対応。会社の会議用にも使える

今後、新型コロナウイルスが抑え込まれ以前の生活に戻ったとしても、学校や会社には常に数名が自宅から授業や会議に参加する、という新しい生活様式になるでしょう。また授業や会議の内容をビデオで残しておくにしても、今までなら教室や会議室全体をビデオカメラで録画するため、ホワイトボードの細かい文字が後から読めない、なんてこともありました。eGlassならボードと教師や登壇者だけを録画するため無駄もなく書いた内容もしっかり残しておくことができます。

  • 新型コロナウイルスが収束しても、eGlassがあれば授業や会議を録画し、オンライン配信も容易にできる

eGlassはまだ日本では未発売。教育市場や企業向けなので安くはないでしょうが、リモートワークが進んだ企業や学習塾などへの導入は有用でしょう。いずれは透明ガラスの向こうにスマートフォンを置いて、スマートフォンのカメラを使って同様のことができるソリューションが出てくるかもしれませんね。ニューノーマルの時代はホワイトボードが透明になり、「クリアボード」などと呼ばれるようになるのかもしれません。