シャオミの5Gスマートフォン「MI 10 Lite 5G」がKDDIから発売されます。価格は4万2,740円(税込、以下同)と、5Gスマートフォンとしてはかなりの安値です。5Gはまだエリアが広がっていませんが、使える場所は毎月のように増えています。今のうちに5Gスマートフォンを買っておけば「家の近所がいつの間にか5Gエリアだった」なんてときに、そのまま使うことができるわけです。

  • 5万円を切る低価格な5Gスマホ「Mi 10 Lite 5G」

ソフトバンクも10万を切る5Gスマートフォンとして「Reno3 5G」を6万8,400円、ZTEの「AXON 10 Pro 5G」を7万2,720円で出しています。シャオミほど安くはないものの、5Gの入門機には最適と言えるでしょう。

KDDIは5万9,980円の5Gスマートフォン「ZTE a1 ZTG01」も提供しています。最新の5Gに対応するスマートフォンも、いまや手の届く値段の製品が増えているのです。ところがドコモに目を向けると、5Gスマートフォンはいずれも10万円を超える価格になっています。ドコモの5Gスマートフォンはスペックが高く、価格相応の機種がそろっているのですが。

  • KDDIは低価格5Gスマートフォンのラインナップを増やしいている(ZTE a1 ZTG01)

しかし5Gを利用する人すべてがハイスペックなスマートフォンを必要としているわけではありません。ドコモとしても5Gユーザーを増やすためには、低価格なスマートフォンの提供が必要になるはずです。

日本で発売されている10万円未満の5Gスマートフォンはいずれも中国メーカーの製品です。いまや中国メーカーの製品だからといって品質が劣ることがないのは、たとえばファーウェイの製品を見れば明らかでしょう。ファーウェイは日本でも5Gスマートフォンを出しており、「P40 lite 5G」なら4万3,780円とシャオミの製品と価格はほとんど変わりません。しかしP40 lite 5GはGoogleサービスを搭載していないことからドコモが提供するアプリも提供しにくく、ドコモから販売される可能性は低いでしょう。

  • ファーウェイの「P40 lite 5G」も安いがGoogleサービスに対応していない

おサイフケータイの搭載の可能性などを考えると、他の中国メーカーの5Gスマートフォンをドコモが展開することも難しいと思われます。そうなるとドコモから出てくるのは、それ以外のメーカーの低価格な5Gスマートフォンかもしれません。

海外ではサムスンが「Galaxy A51 5G」と「Galaxy A71 5G」を販売しています。Galaxy A51 5Gは6.5インチディスプレイに4,800万画素カメラを含むクワッドカメラ、Galaxy A71 5Gは6.7インチディスプレイに6,400万画素カメラを含むクワッドカメラ。どちらもフロントカメラは3,200万画素です。Galaxy A51 5GはOPPOのReno3 5Gとほぼ同じスペックで500ドル(約5万3,000円)、Galaxy A71 5Gは600ドル(約6万4,000円)ですから、日本でも十分価格競争力はあるでしょう。

  • サムスンの低価格5Gスマートフォン「Galaxy A51 5G」

サムスンは9月3日から5日までオンラインで開催されているIFAの関連イベントで「Galaxy A42 5G」も発表しています。詳細スペックはまだ不明ですが、A51、A71より下のモデルとなることから高くても400ドル程度になるとみられています。日本円なら4万円台で、シャオミやファーウェイの低価格5Gスマートフォンと十分競争できる価格になりそうです。

  • さらに低価格な5Gモデル「Galaxy A42 5G」

またLGも8月に低価格5Gスマートフォン「Q92 5G」を発表しました。スペックはGalaxy A51 5Gに近く、まずは韓国で発売されます。価格は49万9,400ウォン(約4万5,000円)で中国メーカーの低価格5Gスマートフォンと変わらぬレベルです。サムスンとLGもいち早く安価な5Gモデルを出さなくては、中国メーカーにパイを奪われてしまうという危機感もあるのでしょう。

  • LG初の低価格5Gスマホ「Q92 5G」

LGはカバーを取り付けると2画面になるデュアルスクリーンスマートフォン「VELVET」も海外で販売しています。日本で同じスタイルで販売されている「V60 ThinQ」は10万円を超えますが、VELVETはチップセットをSnapdragon 765Gにしたことなどでコストを抑え、価格は89万9,800ウォン(約8万1,000円)となっています。

  • スペックを下げ価格を引き下げた2画面対応スマートフォンの「VELVET」

サムスンとLGはドコモに数多くのモデルが採用されていますから、これらの低価格5Gスマートフォンがこの秋冬にドコモから出てくる可能性は十分ありうります。中でもGalaxy Aシリーズはドコモ以外のキャリアからも低価格モデルが出ており「手ごろな値段のGalaxy」というイメージが広がっています。そのGalaxy Aシリーズの5Gモデルを出せば「5Gだけど価格が安い」と消費者に伝えやすいでしょう。

5Gの普及のためにはサービスエリアを広げることが必須ですが、5Gスマートフォンをユーザーに買い替えてもらわなくてはなりません。日本の5G普及を拡大させるためには、現時点で低価格なスマートフォンを使っているユーザーにも買える安価な5Gスマートフォンを出すことが必要なのです。