サムスンの秋冬フラッグシップスマートフォン「Galaxy Note20 Ultra」が海外で発売になっています。日本でもこのNoteモデルは歴代製品が発売されてきたこともあり、10月くらいにドコモなどキャリア経由で登場することが予想されます。

  • Galaxy Note20 Ultra

Galaxy Note20 Ultraの本体デザインの大きな特徴は背面のカメラ。3つのカメラは1億800万画素と1,200万画素を2つ。うち1つの1,200万画素カメラは本体内にレンズを横向きに配置するペリスコープカメラで、光学5倍、デジタル50倍の撮影を可能にしています。このペリスコープカメラと1億800万画素のカメラモジュールは一般的なスマートフォンよりサイズが大きいこともあり、Galaxy Note20 Ultraのカメラ部分はかなり特異なデザインをしているといえます。

  • カメラ部分のアップ。あえて大きさを目立たせている

スマートフォンのカメラ性能は年々高まっており、センサーサイズやレンズの大型化によりカメラ部分のデザインも徐々に目立つものになってきています。また多くのユーザーはスマートフォンにケースを付けていると思いますが、それによりカメラの出っ張りも目立たなくなります。ケース装着が当たり前なら、あえてカメラを大型化してもいいだろう、とメーカー側も考えているのかもしれません。

Galaxy Note20 Ultraはサムスンとして2機種目となる1億800万画素カメラを搭載したモデルです。春先に出てきた「Galaxy S20 Ultra」は、カメラ周りに「Space Zoom」「100X」とそのカメラ性能を大きくアピールする文字が書かれていましたが、ビジネスユーザーをメインターゲットとするGalaxy Note20 Ultraでは、落ち着いた背面仕上げに合わせるようにカメラ周りにはなんの記載もありません。同じメーカーの高画質モデルでもデザインの方向性を180度変えているのは面白いところです。

  • Galaxy S20 Ultraのカメラ周りは性能をアピールするデザイン

1億800万画素のカメラを最初に搭載したスマートフォンは2019年11月に発表されたシャオミの「Mi Note 10」「Mi Note 10 Pro」「Mi CC9 Pro」でした。各社のカメラの最高画質は2019年に入ってから、4,800万画素から6,400万画素へと移行をはじめました。その動きの中でシャオミは一気に「億」の大台を突破するカメラを搭載してきたのです。とはいえシャオミといえばコスパに優れたイメージが強いこともあり、同社がスマートフォン史上最高画質のカメラを搭載したモデルを出してきても市場の反応は今一つだったのが事実。日本でも同年12月にMi Note 10とMi Note 10 Proを発表しましたが、大きな話題にはなりませんでした。

  • 世界初の「億」画素カメラを搭載したシャオミのMi CC9 Pro

サムスンとシャオミが搭載する1億800万画素のカメラセンサーは、業界で圧倒的なシェアを誇るソニーのものではなくサムスンの開発したもの。そのサムスンが自らその億画素カメラを搭載したGalaxy S20 Ultraを2020年2月に発表すると、このカメラの実力がようやく注目されるようになっていきます。シャオミはサムスンとほぼ同時期に1億800万画素かめら搭載の「MI 10」「Mi 10 Pro」を発表。そしてモトローラからは同社初の5Gスマートフォン「Motorola Edge+」が4月に発表。こちらも1億800万画素カメラを搭載します。

  • モトローラ初の5Gスマホ「Motorola Edge+」も1億800万画素カメラを搭載

1億800万画素カメラは12,000×9,000ピクセルという高解像度で撮影できるため、撮影後の写真の一部を切り取って拡大表示しても結構きれいな絵となります。ズーム機能が無くても、スマートフォンを取り出してとりあえず写しておけば、あとから好みのシーンを切り出せるのです。一方、写真1枚当たりの容量は20から30MBとかなり大きくなるため、スマートフォンのストレージ容量をかなり消費します。

  • Galaxy Note20 Ultraの1,200万画素で撮影した写真。石碑上の文字部分を拡大

  • Galaxy Note20 Ultraの1億800万画素で撮影し、同じ部分を拡大

さて8月12日にはシャオミが「MI 10 Ultra」を発表しました。カメラは4,800万画素を2つに2,000万画素、1,200万画素の4つを搭載しています。1億800万画素カメラは搭載していないものの、120倍のデジタルズームに対応するペリスコープカメラを搭載。それまでGalaxy S20 Ultraが誇っていた「業界最高の100倍望遠」性能を追い抜きました。シャオミは世界初の億画素カメラ搭載に続き、世界初の120倍望遠カメラを搭載することで「カメラに強いメーカー」という業界のポジションを取りに行こうとしています。

  • 120倍望遠カメラを搭載するMI 10 Ultra

1億800万画素のカメラの搭載にはメリットとデメリットがあることからか、サムスン、シャオミ、モトローラに加えて年内にはノキア(HMD International)が採用する予定と、まだあまり広がってはいません。しかしスマートフォンの差別化を図るためにはカメラの高性能化は必須です。年内には他のメーカーの採用も進みそうです。また望遠性能もペリスコープカメラの実用化により、高倍率デジタルズームもいずれハイエンドモデルでは標準機能となるでしょう。

スマートフォンのカメラ性能は「画質」「望遠性能」の面でデジタルカメラにはまだ及ばないものの、1-2年内にその差を大きく縮めていくのではないでしょうか。