自由に海外旅行に行けるようにになるにはまだまだ時間がかかりそうな昨今ですが、テレワークの普及で自宅で過ごす時間が増えている人も多いでしょう。気分転換に外出するにも真夏の熱気の中マスクをして近所のカフェに行くのもつらいですよね。ならば自宅で気分転換を図りたいものです。

「Atmoph Window 2」は世界の景色1,000か所を映し出す窓。窓のフレームに納まった縦型のTVに、毎日風景が自動で配信されます。ベーシックな樹脂フレームのTVが44,800円、木製フレームのモデルは69,800円。樹脂は5色、木は2色から選ぶことができます。サイズは647x386mm、厚みは65mmなので、細い縦窓という感じです。

  • 自宅にいながら世界の風景を窓越しに見ることのできるAtmoph Window 2

風景を利用するには月額980円からのサブスクリプション(静止画と動画が見放題)あるいは静止画580円/枚を購入します。Wi-Fiで接続することで自動的に配信されます。風景を見せるだけのモニターですが、だからこそそこから見える景色があたかも本物のように見えるわけです。

また開発中の機能も多く、拡張性も考えられています。最大3枚のAtmoph Window 2を並べて風景を表示する機能、リアルタイムの動く風景を見ることのできるライブストリーミング機能、自分のスマートフォンで写した写真を投影する機能、さらにカメラモジュールを取り付けて室内の監視に利用したり、LEDライトを上部に取り付けることで本物の日差しが差し込む気分を味わえるようになります。

  • 目覚めとともに気分が明るくなるようなLEDライトモジュールの取り付けも可能になる

癒しや安心を与える機能の開発が進められていることで、買った後も新しい感動を味わうことができそうです。実際の家の窓から外を見ても殺風景、なんて人にも勧められるでしょう。

TVを美術館にしてしまう機能を提供しているのがサムスンです。サムスンが海外で販売している「The Flame」は名前の通り、フレームに特徴があるTV。Atmoph Window 2のように、樹脂や木製のフレームが多数用意されており、絵画を飾るフレームのようなデザインのTVなのです。

  • TVが美術館になる「The Flame」

The FlameはもちろんTVとして使えます。しかしTVの電源を落とすと、自動的に世界の絵画を投影する機能「Art Mode」を持っているのです。つまりTVを使わないときは、家の壁が美術館のようになるというわけです。

絵画を表示するためにはサブスクリプションの「Art Store」に加入が必要です。「アルベルティーナ美術館」、「LUMAS」、「サーチ・アート」、「Sedition」、「プラド美術館」、「ヴィクトリア&アルバート博物館」など世界の有名な美術館や博物館と提携しており、1,000を超えるアートを自由に表示できるのです。

そもそも自宅の壁に設置したTVって、使わないときはただの大きい「板」にしかすぎません。またスマートフォンを使う時間が長いと、TVを消したままのことも多いでしょう。サムスンは使われていないTVの表示画面に付加価値を提供しているのです。

  • リビングルームに絵画を表示。TVを有効利用できる

Art Storeは月額4.99ドルまたは1作品ごとに19.99ドル。TVにサブスクリプションというモデルを投入する新しい試みは2017年に初代のThe Flameが発売された時から提供されています。2020年モデルは一人暮らしの部屋にも設置できる小型の32インチから、最大75インチまで6モデル。32インチモデルは縦向きにも設置できます。

TVの進化は画質、音声、薄型化などいまも続いています。また4Kから8Kへの移行も今後進んでいくでしょう。Wi-Fiなどネットにつながることも当たり前となり、通信回線が高速化すればより高画質な動画を流すこともできます。しかし自宅では常にTVをつけているわけではありませんし、TVやスマートフォンからの情報の渦から逃避できる時間も必要です。The Flameは高性能化するデジタル製品であるTVと、アナログの世界である絵画を結びつけたユニークな製品といえます。

サムスンは美しいデザインのTV「The Serif」も販売しています。こちらでもArt Storeが利用できます。The Flame、The Serifは日本では販売されていないものの、ニューノーマル時代に向けてぜひ国内投入してほしいものです。

  • デザイン特化のTV「The Sefif」

TVへの絵画や風景配信は、日本でもLandSkipが風景用のディスプレイを企業向けに展開しており、シャープのAQOS TVやApple TVに風景配信を行っています。病院の病室に設置すれば入院患者さんの精神的なケアにもなるでしょうし、ホテルの狭い部屋に設置すれば下方間も提供できます。TVやディスプレイといった古くからある技術も、コンテンツ次第では新しい用途展開ができるわけです。