KDDI(au)が販売を開始したZTE製の「a1(ZTG01)」は、5G対応で4眼カメラや大画面ディスプレイを搭載しながら、お手ごろ価格で購入できるのが大きな特徴のスマートフォンです。auのサイトでは端末価格が59,980円(税込)、かえトクプログラム適用時の実質負担金は36,340円(税込)となっています。そのa1がどの程度の実力を持っているのか、5Gのテストも交えながら確認してみましょう。

低コスト化の工夫が随所に見られるボディ

まずはa1の外観を確認すると、ディスプレイは約6.5インチ液晶で、サイズは約W76×H164×D9.2mm(最厚部10.1mm)、重さは190g。最近の大画面スマホとしては一般的なサイズ感ではあるものの、やや幅が広めで片手で持つと大きさを感じる印象です。

  • au「ZTE a1」(ZTG01)

    a1の前面。ディスプレイは6.5インチと大きいが、幅も76mmとやや広め

この要因としては、最近のスマホとしてはベゼル幅が広いということもあるでしょう。ディスプレイはフロントカメラ部分をくり抜いたパンチホール構造を採用しているのですが、その一方で下部のベゼルがやや広くとなっています。

  • ディスプレイのフロントカメラ部分をくり抜いたパンチホール構造を採用しているが、四辺のベゼルはそこまで細くない

背面を見ると、ボディ素材は光沢ある樹脂素材。ディスプレイが液晶ということもあって、指紋センサーはディスプレイ内蔵型ではなく、背面に独立したセンサーを備えています。採用する部材やデザインといった点でコストを抑え、低コスト化を実現している様子がうかがえるでしょう。

  • a1の背面。素材は樹脂素材で、指紋センサーも背面に搭載

最近ではミドルクラスでもデザインの高級感を打ち出す機種が増えており、所有感という面ではやや惜しいところですが、そのぶんauオンラインショップでa1の価格(税込)を見ると一括で59,980円。かえトクプログラムの適用で実質負担金が36,340円と、5G対応スマホでは最安クラスというのは大きなポイントといえるでしょう。

側面のインタフェースは一般的ですが、底面には3.5mmのイヤホン端子を装備。有線イヤホンを使っている人にはうれしいポイントとなりそうです。

  • 本体底面にはUSB Type-C端子のほか、3.5mmのイヤホン端子も搭載

4眼カメラを搭載、使い勝手は少々クセあり

a1は低価格ながら5G対応であることに加え、4眼カメラを搭載していることも大きな特徴。背面に約4,800万画素・F1.7のメインカメラ。約800万画素・F2.2の広角カメラ、約200万画素・F2.0のマクロカメラ、そして深度測位用のToFカメラという4つを搭載しています。

  • 低価格モデルながらアウトカメラは4眼構造。約4,800万画素のメインカメラのほか、広角、マクロ、ToFカメラを備えている

カメラアプリを確認すると、通常の撮影時に使用する「写真」モードでは、広角カメラとメインカメラを切り替えながらの撮影が可能。メインカメラの撮影時は最大10倍のデジタルズームに対応するほか、「AIカメラ」をオンにすることで被写体に適した設定で手軽にキレイな写真を撮れます。

  • 広角カメラで撮影

  • メインカメラで撮影

  • 最大で10倍までのデジタルズームが可能。高倍率ズームに力を入れるハイエンドモデルと比べると、画質はあまり高くない

「ポートレート」を選ぶとToFカメラを活用し、人物を撮影したとき背景をぼかした写真が撮れるほか、顔にライティングを施すこともできます。人物以外の背景をぼかしたい場合は、「背景ぼかし」という別のモードを使う必要があります。

  • ポートレートモードで撮影。背景のぼかしに加えて、顔へのライティングを変えた撮影が可能

マクロカメラを使った撮影をするには、「その他」から「マクロ」を選びます。マクロ撮影は通常の撮影と異なり、ピント合わせなどの操作ができません。使い始めは注意したいところですが、慣れてしまえば特に問題はないでしょう。

  • マクロモードで撮影。4cmくらいまで被写体に寄れるが、ピント合わせなどの機能がない点に注意

  • マクロ撮影した写真。200万画素なので写真サイズが小さくなる(原寸で1,600×1,200ドット)

フロントカメラは約3,200万画素と、かなり高い性能を誇ります。美肌機能を使うことで顔の輪郭や目、肌の色など細かな補正が可能。フロントにToFカメラはないものの、ポートレート撮影ができるなど、力が入っている印象です。

  • フロントカメラでポートレートモードを使って撮影。ToFカメラはないが背景のぼかしは可能

ミドルクラスとしては高い性能

続いて性能面をチェックすると、チップセットにはクアルコムのミドルハイクラス向け「Snapdragon 765G」を採用。RAMは6GB、ストレージは128GBで、microSDスロット(最大1TB)もあります。

a1が低価格である大きな理由の1つが、5G端末で一般的な「Snapdragon 865」よりグレードが落ちるチップセットを採用していること。実際のところ、どれくらい性能に違いが出てくるのでしょうか。

チップセットの性能が大きく反映されやすいゲームで比較してみると、例えば「PUBG Mobile」では設定できる画質が「HD」までとなっています。Snapdragon 865を搭載する5Gスマホでは、その1つ上の画質となる「HDR」の設定が可能なことから、やはりある程度の性能差はあるようです。

  • 「PUBG Mobile」の設定画面を確認すると、「HD」までの設定が可能。ミドルクラスとしては高い画質でのプレイが可能なことが分かる

とはいえ、ミドルクラスのスマホはその下となる「標準」までしか選べないことが多いことから、ミドルクラス端末の中では高い性能を持つといえるでしょう。ゲームをプレイするのでなければ、カメラの処理で少し時間がかかることはあるものの、通常の操作で遅さや引っかかりを感じることはありません。不便のない性能は実現できているといえそうです。

バッテリーは3,900mAhと、比較的大きな容量を持っています。USB PDやQuick Charge 4+による急速充電にも対応しますが、充電器は付属していないので別途購入が必要。ワイヤレス充電には対応していません。

  • バッテリーの設定画面では、細かな省電力の設定も可能。事前に設定したアプリを使ったとき、5Gに接続する「5Gパワーセーバー」などの機能も

Wi-FiはIEEE802.11a/b/g/n/ac準拠で、2.4GHz帯と5GHz帯をカバーしていることから安心感は高いでしょう。ただし、防水・防塵性能やFeliCaに対応していない点は、それらを搭載したモデルから買い替えることを考えると残念な部分です。

5G通信を堪能するにはエリア整備を待つ必要あり

ここまでさまざまな機能・性能を見てきましたが、a1の最大の特徴はこの価格で5Gに対応していることではないでしょうか。a1はKDDIが使用している5Gの周波数帯のうち、「サブ6」と呼ばれる6GHz以下の帯域をカバーしており、理論値で下り最大2.1Gbps、上り最大183Mbpsの通信が可能となっています。

では実際のところ、a1でどこまで5Gを体験できるのかを確認してみましょう。auの5Gエリアはまだ非常に狭いことから、地図上で確実に5Gのエリアになっている場所に向かいます。東京の山手線沿線では目白駅がauの5Gエリアとなっていることから、目白駅の付近で5G通信を確認してみました。

  • KDDIのauサービスエリアマップから。山手線の駅でもエリア化されている場所は少なく、地図上で確実にカバーしていると見られる目白駅でテストしてみることに

正直なところ、エリアになっている場所でも5Gの電波を拾うのが相当難しい印象です。目白駅の周辺や駅構内、ホームに至るまで、カバーされていると見られる場所を一通り歩き回ってみたのですが、5Gが入る場所はピンポイントな場所に限られ、5Gに接続できるタイミングも安定しませんでした。

通信速度を確認するためスピードテスト用のアプリを使用すると、十数秒前後で4Gに切り替わってしまって5Gの実力を知ることはできず、「使える」とは言い難い状況でした。筆者の経験上、5Gの電波が安定した場所ではかなり高速な通信ができるのですが、今回はそうした場所を発見できなかったのが原因といえそうです。

  • 「Speedtest.net」を使って測定。5Gの接続確認後に測定を開始しても、十数秒程で4Gへの接続に切り替わり、測定完了まで5G接続を維持できなかった

エリア化されているという場所でもこのような状態なので、どこでも5Gでつながるようになるには相当の時間がかかると考えられます。a1を購入しても高速通信を満喫できるようになるのは、当分は先と思っていたほうがよさそうです。

とはいうものの、a1のハード自体はミドルクラスとしては性能が高く、カメラの使い勝手に改善が必要な印象はあるものの、高いコストパフォーマンスで普段使いには十分。特にディスプレイが大きく、ゲームも十分な画質で快適に楽しめる性能を持つことから、コンテンツを楽しむことを重視している人には適したモデルといえます。