スマートフォンにカメラが付いているのは当たり前。しかし写真を印刷できるプリンターが内蔵されているスマホは世界広しども見たことがないだろう。ところがモトローラからそんな製品が登場したのだ。とはいえ、正確にいえばスマートフォンそのものにプリンターが搭載されているのではない。スマートフォンの背面に、まるで合体ロボのようにプリンターを装着して使うことができる製品なのである。

モトローラのスマートフォン「Moto Z」シリーズは、合体式のモジュールが多数用意されている製品だ。Moto Mods(モト・モッズ)と呼ばれる合体モジュールはスマートフォンの背面を着せ替え感覚で交換できる木目調のバックパネルから、本格的なサウンドを再生できるJBLのスピーカー、壁にスマートフォンの画面を投影できるプロジェクターなど、機能性のあるモジュールも多数販売されている。

背面に各種Moto Modsを装着できる

そのモジュールに「Polaroid Insta-Share Printer」が登場した。アメリカでこの冬から199ドルで販売される。名前の通り、あのインスタントカメラのポラロイドが開発したプリンターモジュールで、スマートフォンの背面をプリンターに変えてしまうのである。

プリンターを搭載するモジュールPolaroid Insta-Share Printer

いまやスマートフォンのカメラ画質はデジカメを超えるほどになっている。またデジカメと違いスマートフォンは、撮影した写真をすぐSNSにシェアすることができる。とはいえ旅先で知り合った人と一緒に写真を撮り、それをすぐに相手に印刷して渡したい、なんてこともよくあるはず。また、夏休みや冬休みに故郷に帰った時に、おばあちゃんやおじいちゃんと一緒に写真を撮って、それをすぐ手渡せば喜ばれることだろう。

すでにスマートフォンから利用できる小型のポータブルプリンターは何社かが販売している。最近は小型のものが増えており、旅行カバンに入れて持ち運べる大きさのものもある。それらの中のいくつかの製品は、ポラロイドが開発したZINKテクノロジーを採用している。ZINKは14層になった印画紙にカラーインクが内包されており、熱を加えるだけでカラー印刷が可能だ。つまりプリンター側にインクを搭載する必要がなく、本体サイズを小型化できるのである。

スマホとつなげられる小型プリンターも販売されている

ZINKを利用したポータブルプリンターさえもっていれば、旅先どこでもすぐに写真を印刷できる。だがちょっと外出するときなど、部屋にプリンターを置き忘れてしまうこともある。また印刷しようと思った時にスマートフォンとのペアリングがうまくいかず、なかなか印刷できないこともある。無線接続のトラブルはどうしても起きてしまいがちだ。

ところがスマートフォン本体にプリンターを合体できればその心配も無くなる。Polaroid Insta-Share PrinterもZINKを採用しており、本体を充電し印画紙を入れておけば、あとはスマートフォンに合体させて持ち運ぶだけでよい。

Moto Zシリーズの背面と同じサイズで持ち運びしやすい

実はスマートフォンに装着できるプリンターもいくつか存在している。iPhone用の製品で、iPhoneの背面にドッキングさせればフォトプリンターになるというものだ。つい最近、2017年8月には「PRYNT POCKET」という製品が海外で発売になった。PRYNT POCKETにiPhoneを装着すれば、撮った写真をすぐ印刷できるのである。

PRYNT POCKETは115×80×50mmと、iPhoneの背面に装着するというより、グリップのようにして取り付ける形状になっている。そのため写真を撮るときに取り付け、普段は取り外しておく、そんな使い方をしたほうがいいようだ。

カメラグリップサイズのPRYNT POCKET

一方Polaroid Insta-Share Printerは153.6×73.8×20.4mmと、モトローラZシリーズの背面と同じ大きさなので、取り付けた状態で持ち運ぶこともできないことはない。厚さは20mmあるが、全体的なシルエットはPRYNT POCKETよりもスマートフォン本体との一体感がある。また他のMoto Modsモジュールを取り換えて使うという楽しみも持てる。カメラメーカーのハッセルブラッドの光学10倍ズームレンズを搭載したカメラモジュール「Hasselblad True Zoom」と交互に使い分ければ、美しい写真を撮影し、すぐに印刷、なんてこともできるのである。

やや難点があるといえば、ZINKの発色は独特な色合いで、普通のカラー印刷よりも若干淡い感じになる。晴天の空などは綺麗に表現できるものの、暗い室内での人物写真などは苦手のようだ。このあたりは昔のインスタントカメラの感覚で「その場で印刷してコミュニケーションを図る」用途として使えばよいだろうか。

専用のZINKペーパーを使う。発色はやや独特だ

モトローラのMoto Zシリーズはすでに数モデルが販売されており、日本でも「Moto Z」「Moto Z Play」「Moto Z2 Play」の3機種が登場している。各種のMoto Modsも多くの製品が販売中だ。Polaroid Insta-Share Printerの日本発売は未定だが、カメラモジュールを持っているユーザーの多くが欲しいと願う製品だろう。日本発売を期待したい。

Moto Z2 Playに続く、ZシリーズやMoto Modsも出してほしい