携帯ゲーム機であるニンテンドーDSでアナログシンセが楽しめる「KORG DS-10」。今回はアナログシンセならではのパッチング機能とリズムフレーズを作るためのドラムマシンについてチェックしていこう。

画面上でケーブルを繋いでパッチング

「KORG DS-10」に搭載される2系統のアナログシンセモジュールは「SYN1 EDIT」画面にVCO、VCF、VCA、そしてEGといったパラメータが用意され、アナログシンセならではの操作で音を作ることができる。だがそれだけではない、音作りのために用意されたもうひとつの画面が「SYN1 PATCH」だ。

マップ画面で「SYN1 PATCH」をタッチするとLFO(MG)からVCOのピッチやVCFのカットオフをモジュレーションできるパッチング画面が開く

ノブとパッチング用のコネクタが用意されるSYN1 PATCH画面、信号の流れを図示したブロック図がいかにもアナログシンセ風だ

これは仮想のケーブルを繋ぐ画面。パッチング操作でLFO(MG)やEG、そしてVCO2が出力する波形からVCO1/2のピッチやVCFのカットオフ周波数、そしてVCAをモジュレーションしてサウンドを周期的に変化させる機能を持つ。DS-10ではSYN1 EDIT画面にはLFOが搭載されていなかったが、ここに用意されているというわけだ。

パッチングは繋ぎたいコネクタ間をタッチペンでドラッグして行う、Propellerhead Softwareのソフトシンセ「Reason」と似た操作だ

LFOは三角波、ノコギリ波、矩形波、そしてS&H(サンプル&ホールド)と4つの波形を出力でき、単体で周波数を設定するほか、曲全体のテンポに同期させることも可能。ひとつの波形から複数のパラメータを同時にモジュレーションすることはできないが、たとえば三角波でVCO1のピッチを、ノコギリ波でVCFのカットオフを、EGでVCAをといった具合に複数のパッチングは可能なので、かなり派手なサウンドも出せて面白い。

このように複数のパッチングを行うことも可能。パッチングをやめるときは接続されているケーブルをドラッグして外せばよい

柔軟に使える4系統独立のドラムマシン

DS-10には2系統のアナログシンセだけでなく、ドラムマシンも用意されている。次はそちらを使ってみよう。

マップ画面で右下の「DRUMS」をタッチするとドラムマシンモジュールが表示される、4つのボタンをタッチすればそれぞれの音色が演奏される

「EDIT」を1回タッチしてからDRUM1~4ボタンをタッチすると、片方の画面にはドラムエディット用のメニューが表示され、もう一方はメニューで選んだ画面が表示される

ドラムマシン画面を開くと「DRUM 1」~「DRUM 4」と表示された4つの大きなボタンが配置されていて、それぞれをタッチしてみるとドラム音が演奏される。つまりドラムパッドのようなインタフェースだ。アナログシンセをシーケンサで演奏しながらドラムをリアルタイムで演奏することもできるし、結果をリアルタイムにレコーディングしてシーケンサに記録することもできる。

さらに右上の「EDIT」を1回タッチしてからDRUM1~4ボタンをタッチすると、各ドラムモジュールの音作りができる。

まず「DRUM EDIT」はアナログシンセのエディット画面と似た画面で、EGのリリースが存在しないなど多少の違いはあるが、機能的にはほぼ同じだ。次に「DRUM EDIT PATCH」はアナログシンセのパッチング画面と同じものとなっている。

ドラムモジュールサウンドの基本を設定する「DRUM EDIT」画面。ドラムマシンという特性上かEGのリリースが存在しないなど一部に違いはあるものの、機能的にはアナログシンセとほぼ同じで自由にエディットできる

パッチングを行う「DRUM EDIT PATCH」画面も用意される、こちらもアナログシンセと同様にLFO(MG)やEGからVCOやVCF、VCAをモジュレーションできる

このことからわかるように、DS-10のドラムマシンは単純にプリセット音色を選ぶだけといったものではなく、ほとんどアナログシンセ部と同等。ドラムっぽいサウンドだけでなくシンセベースっぽい音も出せる。ドラムマシンの演奏については先に述べたパッドのみでキーボード、カオスパッドは用意されていない。そのためリアルタイム演奏ではノートを変えることはできない。詳しくは次回に紹介するがドラムマシン用のシーケンサでノートも変更できるので、さまざまな使い方ができるようになっている。さらにDRUM1~4は完全に独立した音作りができ、シーケンサも別系統になっているので、かなり柔軟なドラムマシンといえるだろう。

「DRUM FX」はエフェクト、ディレイ、フランジャー、コーラスと3系統を切り替えて使える。スイッチをBPMにセットすればテンポシンクする

そして「DRUM FX」ではディレイ、フランジャー、コーラスと3系統のエフェクトが用意されている。使用できるのは1系統のみだが、DRUM1ではディレイ、DRUM2ではフランジャーといったかけ方は可能だ。

このようにアナログシンセ、ドラムマシンともかなり本格的なDS-10だが、リアルタイム演奏しているだけでは飽きてしまうかもしれない。次回はニンテンドーDSで本格的な曲作りを可能としたDS-10のシーケンサ機能がどんなものか、チェックしてみたい。