「ちょっとeグッズ」は毎日のくらしをちょっとイイ感じにしてくれる、ガジェットのよもやま話を語る連載です。

皆さんこんにちは。オーディオ・ビジュアル製品などを中心に幅広く取材しているマイナビニュース編集RSこと庄司です。今回は、長年のXperiaユーザーだった筆者があえてXperiaを離れて旅(製品選び)をし、たどり着いた移住先(新しいAndroidスマートフォン)の話をします。

  • 60日以内に手放す予定のソニー「Xperia 5」(SO-01M)

Xperiaを手放す理由

まずは筆者のスマートフォン事情を簡単に説明しておきましょう。仕事柄、最新のiOSとAndroid OSに触れておきたいので、できるだけ新しい世代のiPhoneとAndroidスマホを各1台、必ず所持しています。個人的には片手で使えるコンパクト機を好むこともあって、現在は「iPhone 12 mini」をメインスマホにしていますが、Androidに関してはなかなかいい小型機がなく、NTTドコモ版のソニー「Xperia 5」(SO-01M)を使ってきました。

このXperia 5は、コロナ禍に突入して間もない2020年5月にドコモの「スマホおかえしプログラム」を使って手に入れたもの。それまで「Xperia A」(SO-04E)、「Xperia Z3 Compact」(SO-02G)、「Xperia X Compact」(SO-02J)、「Xperia XZ1 Compact」(SO-02K)といった比較的小さくて手ごろなXperiaを愛用してきたのですが、たぶん購入時に同プログラムを使ったときの値ごろ感に惹かれて入手したのでしょう。小型路線を貫いてきたのにいきなり21:9ワイド画面のXperia 5に乗り換え、「長い!」、「ジーンズのポケットに収まらない!」と新鮮な驚きを味わっていたものでした。

  • 手元に残っている歴代Xperia。左から「Xperia X Compact」(SO-02J)、「Xperia XZ1 Compact」(SO-02K)、そして現行の「Xperia 5」(SO-01M)。撮影角度の関係で違いが分からなくなったが、縦の長さはX/XZ1 Compactのほうが5よりも相当短い

Xperia 5はいいスマホなのですが、コロナ禍ということもあって外に持ち出して活躍する機会がほとんどなかった“不遇の機種”でもありました。筆者初の3眼カメラ搭載スマホで当初は面白がっていたものの、巣ごもり生活ではその強みが活かされることもあまりなく。

それに2年も使っているとスペック的に見劣りしてきましたし、バッテリーも持たなくなってきました。時々キャッシュクリアしたりチューニングを施したりしても、今では1日持つかどうか……。指紋認証センサーはありますが、iOSのFace IDに慣れた身としては顔認証機能が欲しくなります。

【お詫びと訂正】初出時「Xperia 5に顔認証機能はない」としていましたが、2019年の発売当初、Android 9のSmart Lock機能のひとつとして顔認証が利用可能であったことが確認できたため、該当部の表現を削除しました。なお、2020年2月から提供開始されたXperia 5向けのAndroid 10対応OSバージョンアップでは同機能が削除され、現行のAndroid 11でも利用できないことをおことわり致します。(3月25日 10:00)

最初のAndroid 9から10、そして11へとOSアップデートを重ねて基本機能はずいぶん強化されましたが、12へのアップデートはもう望めません。どうせなら12までサポートして欲しかったですが、Xperia 5のOS更新は2回までという話があるようなので致し方なし、です。

  • Xperia 5の3眼カメラは、2年近くに及んだ巣ごもり生活の中ではほとんど活かしきれなかった。なお、背面パネルを保護するシートにうっすら付いている模様は『鬼滅の刃』の和柄インスパイアというわけではなく、スマホケースの裏側のゴムがくっついた跡だ

ちなみに余談ですが、筆者は一時期、新しい完全ワイヤレスイヤホンを試すために、高音質・低遅延なaptX Adaptiveコーデックが使える「Xperia 10 II」(XQ-AU42)を持っていたことがありました。縦長画面なのは5と共通ながら、10 IIは5と違ってヘッドホンジャックがあって音楽プレーヤーとして活躍してくれ、軽くて扱いやすいところも好印象でした。5にAndroid 11が降ってきたタイミングで同コーデックが使えるようになったので、10 IIは筆者の手元から旅立っていきましたが……。

そして今、Xperia 5も旅立ちのときを迎えようとしています。前出の「スマホおかえしプログラム」は36回の分割払いのうち、端末を返却すれば25回目以降最大12回分(もしくは相当額)の支払いが不要になるプログラム。そのまま支払って使い続ける選択肢もありますが、同プログラムのおトクさを活かすためにも25回目以降を支払わず、返してしまうのが吉でしょう。

Xperia 5の現役引退は決まったので、2022年5月を過ぎたらドコモに返却するつもりです。

高音質な無線オーディオが欲しい。Motorolaのスマホを買った

  • Xperia 5の後釜におさまった「motorola edge 20」

さて、ここからが本題。ドコモ回線自体はそのまま残すので代わりのAndroidスマホが必要になりますが、筆者が求める中~上位機でコンパクトなモデルって意外と選ぶ余地がないのです。

また、AV製品を中心に取材を続けている関係で、Bluetoothコーデックの最新バージョン(高音質なもの)を網羅している機種が欲しくなるんですが、そうするといよいよ選択肢が限られます。コンパクト機ではおそらく皆無でしょう(もしあったらこっそり教えてください)。

ちなみに、USB-Cポートさえあれば外付けのUSB DAC搭載ヘッドホンアンプをつないで有線イヤホン/ヘッドホンが使えるので、本体のヘッドホンジャックの有無にはこだわりません。カメラ機能についても、手持ちのiPhone 12 miniとミラーレスカメラ「α7 III」で事足りるのでそこまで重視していません。ユニークなポイントがあれば比較検討時に気にしよう、くらいのスタンスです。

いちおう候補として、現行の最上位機「Xperia 1 III」や、「Xperia 5 III」も見てみました。ハイエンド機ならではの数々の魅力には心惹かれますが、何といってもお値段がスゴくて手が出ない。10万円越えのスマホは「えいやっ!」と買えるものではありません。それに、キャリアの分割払いに2年以上拘束されるのもどうかな、と思っているこの頃。Xperia 5の後継選びの候補からは外してしまいました。コンパクトシリーズ、復活しないかなぁ……。

それはさておき、個人的に今注目しているのが、クアルコムが提供するワイヤレスオーディオ技術「Snapdragon Sound」です。これはソニーが手がけたLDACコーデック同様に、96kHz/24bitの高音質ワイヤレス伝送を実現するほか、超低遅延やペアリングの改善、クリアなハンズフリー通話音質を目指すもので、複数メーカーが対応製品の開発に乗り出しており、現時点ではAVIOTの完全ワイヤレスイヤホンをはじめ、いくつか製品化されています。今後、選択肢が増えていくとなれば触れる機会もあるでしょうから、Snapdragon Sound対応のAndroidスマホはぜひとも欲しい。

  • motorola edge 20は、クアルコムの最新ワイヤレスオーディオ技術「Snapdragon Sound」をサポートするが、実は色々挙動に問題がある

ちなみに、Bluetoothオーディオで96kHz/24bitの高音質を楽しむだけでいいなら、シャープのAndroidスマホ「AQUOS R6」とビクターの完全ワイヤレスイヤホン「HA-FW1000T」という組み合わせもあります。ただ、Snapdragon Soundは前述のように高音質だけでなく、ワイヤレスの低遅延や通話品質も含めてユーザー体験を向上させることをねらった技術であり、認証テストを経て同規格のロゴを取得した製品同士でないとフル機能を享受するのは難しそう。ということで、この組み合わせも候補から外しました。

(なお余談ですが、この記事を書いている最中に、Xperia 1 III/Xperia 5 IIIをAndroid 12へアップデートすることで、aptX Adaptive対応ヘッドホン利用時に96kHz/24bitストリーミング再生が選べるようになったコトを知りました。なんというタイミング……!)

  • motorola edge 20は高音質・低遅延なaptX Adaptiveコーデックをサポート。開発者向けオプションの画面を見ると、対応機種との組み合わせでは96kHz/24bitでの再生もサポートすることが分かる(現在は48kHz/24bitまでが主流)

ではSnapdragon Sound対応のAndroidスマホってどんなものがあるのか? ということで、クアルコム「aptX」の公式サイト(英文)をのぞいてみます。上部ナビバーの「Products」から遷移した先のページで、「Browse by aptX family」のリストから[Snapdragon Sound]を選ぶと……ありました。対応するスマホやオーディオ製品がいくつかリストアップされています。

このうち、国内で正規購入できるSnapdragon Sound対応スマホは、執筆時点ではSIMフリー機の「Xiaomi 11T Pro」や「motorola edge 20」くらいでしょうか。筆者は後者を選びました。理由は単純で、Xiaomiのスマホにはなじみがないけれど、Motorolaのスマホは昔ちょっと使ったことがあって安心感があるからです。

ちなみにこれはぜんぜん関係ありませんが、かつてドコモあたりから出ていたMotorola製の薄型ケータイが欲しかったことを思い出します。薄くてカッコいいは正義なので。現行の「Motorola Razr 5G」がSnapdragon Sound対応でお手ごろ価格だったら、迷わず候補に入れたのですが……(直販価格はなんと179,800円!)。

そんなわけで、Xperia 5を手放すつもりでいる長年のXperiaユーザーが目指す“新天地”は「motorola edge 20」と相成りました。購入時の価格は44,800円(一括払い)。決して安くはありませんが、驚くほど高価でもありません。イマドキのミドルレンジのAndroidスマホならまぁこんなものでしょう(筆者注:だいぶ強がっています。散財できない身なのに)。

……ただ、これでめでたしめでたし、となれば良かったんですが、実はそうでもありません。

motorola edge 20は筆者が大事にしてきたコンパクト路線とはまったく相容れない大画面スマホですが、Amazon Prime VideoがフルHDで見られたりWebブラウズがはかどったりして案外良いものですし、マクロ撮影が便利なカメラや、フロントカメラを使った顔認証機能があるのもイケてる。バッテリーも1日半以上持ちますし、充電だって超早い。個人的には満足度が高いです。

なんですが、実は決定打のはずだったSnapdragon Soundまわりで、だいぶ悩みがあるのです。その話はまたいずれ。

  • motorola edge 20の背面。Motorolaの「M」マークがカッコいい。ほとんど触れられなかったが、motorola edge 20の三眼カメラは優秀で、マクロ撮影モードが重宝する。ちなみに、画面中央下にGoogleアシスタント起動ボタンが見えているがこれはまったく使っておらず、必要性も感じない。Xperiaみたいにカメラキーに割り当てたい