「ちょっとeグッズ」は毎日のくらしをちょっとイイ感じにしてくれる、ガジェットのよもやま話を語る連載です。

我こそは(トラックボールではなく)マウス派、というほど確固たる信念があるわけではないのですが、筆者は長年、ロジクールの「マラソンマウス M705」(以下、M705)を使ってきました。

  • ロジクール M705 マラソンマウス

    筆者が使っている「マラソンマウス M705」。現行のM705mではなく、初代のM705です。あらためて見てみると、ちょっと自分でも引くくらい古びて、ロゴもほぼ消えていました。でも、今も問題なく動きます

使用年数はかなり長いものの(丸5年は超えています)、堅牢な作りで問題なく使えています。ですが、客観的に見てまあまあ買い替え時のルックスになっていたこと、そしてここ数年でがらっとワークスタイルが変化したことから、現状に合ったマウスを探してみることにしました。

買い替えで外せない条件は「ホイール」

M705で特に重宝していたのが「デュアルモードスクロール」。ホイール直下のボタンでスクロール方式をすぐ切り替えられ、ページの下まで一気に高速スクロールしたり、じっくり読みたい部分をカチカチと1行ごとに送ったりが自在なので大変気に入っています。そのため、新しいマウスの条件としては、「スクロール速度を変えられること」が軸になりました。

  • ロジクール M705 マラソンマウス

    赤丸で囲ったところにあるボタンで、スクロールの速度を切り替えられます

テレワークの浸透で、PCの周辺機器も含めて持ち歩く機会が増えている昨今。コンパクトさや軽さが以前より重要になってきていますが、個人的に省スペースを追求した平たい形のマウスはどうにもしっくり来ません。マウスに手をかぶせる持ち方に慣れているせいでしょう。

お値段も気になるし、可能なら静音性も高めたい。プライベートでも行うようになったテレビ会議では、USB有線ヘッドセットとマウスのレシーバーがUSBポートを取り合うこともあるので、できればBluetoothでマウスを接続したい。

そんなわがままをたっぷり抱えて最寄りのヨドバシカメラで検討。最終的に、同じロジクールの「Signature M650」(以下、M650)に決めました。2サイズ展開でLサイズもありますが、筆者は手が小さいため迷わず通常サイズを選択。色選びの理由は後述しますが、唯一の有彩色であるローズにしました。

「欲しい機能」が過不足なく載ったSignature M650

  • ロジクール Signature M650

    新しく購入した「Signature M650」(直販価格4,290円)。Bluetooth Low Energyと、独自規格「Logi Bolt 」USBレシーバーの2通りの接続方法を備えています

マウス選びの要としていたホイールですが、M650は「SmartWheelスクロール」機能を備え、ボタンで切り替えなくても、ホイールを強くはじくと高速スクロール、ゆっくり回すと一行ずつのスクロールに切り替えられます。あっという間にページ最下部に到達するマラソンマウス M750の高速スクロールと比べると勢いは弱めですが、必要十分な速度です。

携帯性はわずかながら向上。ずっと使っていたM705の本体サイズは高さ109×幅71×奥行42mm。一方のM650は高さ107.19×幅61.80×奥行37.8mmと、高さはほぼ同じながら、幅と奥行がコンパクトになっており、持ち運び用ポーチに入れたときの圧迫感が減りました。

  • M650(左)とM705(右)を並べてみました。サイズの違いは意外とわずかなのですがサイドにくびれがあるためか、M650のほうがコンパクトに見えます

    M650(左)とM705(右)を並べてみました。サイズの違いは意外とわずかなのですがサイドにくびれがあるためか、M650のほうがコンパクトに見えます

また、これまではサイドキーに指が届きにくく、キーボード操作のほうが手早くできたのであまり使っていなかったのですが、M650では親指をキーに自然と置けるため活用できそうです。ほんのわずかなフォルムの違いでこうも変わるとは、と驚き。

  • M650を持ったところ

    M650を持ったところ

  • M705を持ったところ

    M705を持ったところ

クリック音も非常に静か。高い「カチカチ音」が一度気になりだすと、たとえそれが自分の出している音でも気が散ってしまいがちな筆者にはありがたいポイントです。マウス本体の高さが低くなり、手をかぶせやすくなったことから、手首にかかる負担が減った気がします。

  • M705(左)とM650(右)の高さを比較。ちなみに重さはM705が135g、M650が101.2gと34gの差があります

    M705(左)とM650(右)の高さを比較。ちなみに重さはM705が135g、M650が101.2gと34gの差があります

最後まで候補に残っていたのは、これまたロジクールの高機能マウス「MX Anywhere 3」(直販価格10,780円)。もちろん他メーカーの製品も試したのですが、やはり長く連れ添ったホイールの感触が基準になるので、同じメーカーにたどり着くのかもしれません。

MX Anywhere 3にはマラソンマウスと同様のモード切替ボタンがあり、ホイール単体でも強くはじくと自動的に高速スクロール、ゆっくり回すと1行ずつのスクロールに切り替え可能なところが魅力。

ですが、価格が半分以下のM650に載っている物と、ホイールだけ見れば操作方法はおおよそ同じ(厳密にはAnywhere 3にはMagSpeedホイール、M705にはSmartWheelが搭載され、回し心地が違いますが、ゆっくり回して通常スクロール/素早く回して高速スクロール、という操作は同じです)。実際に触って比較し、自分にはM650のSmartWheelスクロールで差し支えなさそうでした。

当然ながら、MX Anywhere 3にはM650にない機能も多数搭載。最大3台までのデバイス切り替えや、充電式で100gを切る軽さにも惹かれたのですが、M650のコストパフォーマンスは見逃せず。そして、外観だけで言えば断然M650のほうが好みだったことが決め手となり、購入に至ったのでした。

  • 手持ちのリップクリームやハンドクリームなど、デスク周りにある雑貨のパッケージと似たくすみカラーで、手元に置いておきたくなります(マウスなのでいつも手元にあるのが当然、というのは置いておいて)

    手持ちのリップクリームやハンドクリームなど、デスク周りにある雑貨のパッケージと似たくすみカラーで、手元に置いておきたくなります(マウスなのでいつも手元にあるのが当然、というのは置いておいて)

中価格帯のマウスでホワイト/ブラック以外の選択肢があるのが嬉しく、今回は「ローズ」をセレクト。最終候補のMX Anywhere 3でもローズは選べますが、発売時期がより新しいためか、M650のほうがどことなく今っぽいマットな仕上がり。卓上で目につきやすいので、持ち出すときに忘れにくくなったという身もフタもない利便性も。

長年使っていたマラソンマウスのぬるっとした高速ホイールに未練がないと言えばウソになるのですが、M650のほうが自分の手のサイズにはあっているようで、予想よりずっと違和感なく移行できてホッとしました。これからは新しい相棒とPCライフを送ってみます!