5月9日から5月11日まで、東京・台場の東京ビッグサイトにて開催されている「2018 Japan IT Week 春」において村田製作所は、スマートスピーカーの低消費電力化を実現したソリューションや、LTE-M(CAT.M1)とNB-IoT向けをラインアップしたLPWAモジュールなどを展示している。

"すぐ寝るスピーカー"で、消費電力を大幅にダウン!

スマートスピーカーの低消費電力化は、同社のMCU(マイクロコントローラーユニット)内蔵通信モジュールと、QuickLogicの「EOS S3プロセッサ」を組み合わせることにより実現した。これにより、外部電源が不要でバッテリでの駆動が可能となるため、スマートスピーカーを好きな場所に置くことができるという。

具体的な仕組みはというと、MCU内蔵通信モジュールは基本的に"スリープモード"にしておき、電力の消費を抑え、特定の名前(例えば「アレクサ」など)で呼ぶと、EOS S3プロセッサが反応し、EOS S3プロセッサがMCU内蔵通信モジュールのスリープモードを解除させ、通常通りにスマートスピーカーが動く、というもの。

  • 低消費電力Wi-Fiスマートスピーカーソリューション

    今回展示された、低消費電力Wi-Fiスマートスピーカーソリューション。画像右側の赤い四角で囲まれているのがMCU内蔵通信モジュール、画像左側の黄色い四角で囲まれているのがEOS S3プロセッサ

つまり、消費電力が高いモジュールは基本的にスリープモードにしておき、消費電力が低いプロセッサを待機状態にさせておくことによって、従来よりも低消費電力でスマートスピーカーを動かすことができるようになったというわけだ。

  • 低消費電力Wi-Fiスマートスピーカーソリューション
  • 低消費電力Wi-Fiスマートスピーカーソリューション
  • 「アレクサ、全部オンにして」と話しかけるだけで、すべての電源がオンに。画像の両端に「低消費電力モード」と「通常モード」と書かれたスピーカーがあるが、低消費電力モードが上で紹介したソリューションを使用したものである

  • 低消費電力Wi-Fiスマートスピーカーソリューション
  • 低消費電力Wi-Fiスマートスピーカーソリューション
  • 低消費電力モードだと普段の消費電力は低く(画像1枚目)、名前を呼んでスリープモードがとけると、電力が上がる(画像2枚目)

「eDRX」で消費電力を大幅削減

また、ブースでは同社が開発する各種LPWAモジュールも展示されている。LPWAとはLow Power Wide Areaの略で、低消費電力で広い領域を対象にできる無線通信技術だ。

2018年からLTE-M(CAT.M1)やNB-IoTといったセルラー系LPWAのサービスが本格的に開始され、同社はそれぞれの分野のマーケットリーダーと戦略的パートナーシップを締結し、LPWA技術を用いた製品の開発を加速しており、同社ブースでは、各規格に適合したLPWAモジュールのバリエーション紹介と用途の提案がなされている。

ブースでは各種あるモジュールの機能の中でも、消費電力を減少させる技術「eDRX(extended Discontinuous Reception)」についての紹介がなされた。

  • 村田製作所 Japan IT Week 展示ブース

    デモンストレーションの様子

eDRXとは、従来の、待ち受け中にサーバ側から送信されてくる各種信号を受信する際に電源をONにし、そのほかはOFFにすることで電力消費を低減している「DRX」技術に対して、信号が送信される間隔を長くすることで、消費電力の低減を実現する技術のこと。これにより、大幅な低消費電力化を実現した。

  • 村田製作所のLPWAモジュール

    デモンストレーションで使用されたLPWAモジュール

  • 村田製作所のLPWAモジュール

    横軸が時間、縦軸が消費電力を表すグラフ。電源がOFFの時間が長く、消費電力が少ないことがわかる。また、途中で電力消費の間隔が短くなっているのは、意図的に受信の間隔を短くしたためだ

LPWAモジュールのコーナーではそのほか、同社が開発した(もしくは開発中の)さまざまなモジュールが展示されている。

  • 村田製作所のLPWAモジュール
  • 村田製作所のLPWAモジュール
  • 村田製作所のLPWAモジュール
  • 村田製作所の各種LPWAモジュール