9月1日は防災の日だ。この連載では毎年2回、この防災の日と、東日本大震災が起こった3月11日に、身の回りの防災グッズの見直しをすることをおすすめしている。具体的にはモバイルバッテリなど非常時に役立つグッズの点検保守を定期的にやっておこうということだ。

  • 防災の日が近いから、というわけでもないだろうが、家電量販店でも防災グッズが並んでいた

万が一に備えてデジタルグッズを点検保守

個人的には毎年3月11日に装備点検、9月1日にその再点検というサイクルだ。ポータブル電源のバッテリ残量を確認し、残量が少しでも減っているようなら継ぎ足し充電をしておく。本当は一度完全に放電させてから満充電にするようにするのがいいのだが、なかなかそこまではできず、継ぎ足し充電で100%を維持させている。

まあ、ほとんどの場合、半年や1年での自然放電は数%未満ですんでいるようだ。パソコンなどはシャットダウン時にもバッテリを消費するが、ポータブル電源やスマホ用のモバイルバッテリはそんなことはない。使わないで放置しても自然放電はほとんどない。でも定期的なチェックは必要だ。

台風、高潮、津波、地震などが起こったとき、その被害として、停電などが起こる可能性がある。バッテリの備蓄はそのような場合に備えてのことだ。そのときも、ある程度の情報収集ができるように電源を確保できるようにしておく。IT的にはそういうことだが、カセットコンロ、飲料水、懐中電灯、非常用食料といったものについても、使用/賞味期限を確認し、必要に応じて新しいものに入れ替えておく。

久しぶりの充放電でバッテリの劣化に気づくかも

万が一に備えるというのはよく使われる言葉だが、その言葉通り、それが起こることはめったにない。せっかくの備えがいつになっても活かせないから、だんだんと備えがおろそかになっていく。そして、いい加減になってしまったときに、万が一が起こり、大きな被害につながる。だから、万が一が起こらないことに感謝しつつ、その先の万が一に備えよう。

特に、この数年はコロナ禍で外出のパターンがそれ以前と少し異なるようになってきた方も多いと思う。在宅勤務などで外出の機会が減っているかもしれない。在宅勤務ではモバイル機器の電源を気にする必要がないが、特に問題ないと思っていたモバイルバッテリが、実際に充電/放電させてみると、以前よりも劣化していることに気がついたりするかもしれない。

バッテリのことだけを考えるなら、半分くらいの充電量で冷暗所に保存しておくというのがいちばんいい。でも、それでは万が一のときに半分の能力しか発揮させられない。方法としてはバッテリを倍の数用意しておくか、バッテリの健康は二の次にして消耗品として考え、100%の充電量を維持し、定期的に買い替えるかだ。

リン酸鉄リチウムイオン電池を採用することで、従来製品より長寿命を実現したAnkerのポータブル電源など、高付加価値製品も出てきている。そうした製品を選ぶというのも一つの手だ。

備蓄のバッテリ製品を日常的に使う手もある

非常グッズとしてではなく、備蓄のバッテリ製品を日常的に使うという手もある。パススルー充電対応製品は、バッテリを切り離した状態で出力などができるように工夫されているので、通年利用していても、バッテリの劣化は最低限に抑制される。こうした機能をうまく活かしてみてほしい。

もっとも電源が確保できて通信機器が使えても、肝心のモバイルネットワークに障害が発生する可能性もある。つい先日起こったばかりだから記憶に新しいだろう。

とはいえ、停電が続き、テレビもラジオも停波し、そして、携帯電話も使えない、インターネットも止まった世界というのは未経験で、小説や映画の世界ならともかく、リアルなイメージとしては想像もつかないのだが、本当は、その可能性も視野に入れた上で装備しておくのがベストだ。そして、その装備が役にたつ日がこないことが最高だ。